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ウ 市町村の取り組み状況

厚生省が平成10年3月と7月に全国調査をした結果、広域連合又は一部事務組合を検討しているのが地域数で85地域から113地域へ、市町村数では669市町村から846市町村へ増加している。広域化を検討している事務は要介護認定に関する事務が多い。

また、要介護認定事務の共同化を検討しているところが、市町村で1,174団体ある。形態としては、介護認定審査会の共同設置によるものがほとんどである。

これらを合わせると2,000近くの市町村が広域化について検討、合意している状況にある。

 

エ 広域的取り組みの事例

(ア) 北海道空知中部広域連合

北海道の奈井江町、浦白町、新十津川町、雨竜町、上砂川町、歌志内市の5町1市で平成10年7月に「空知中部広域連合」が設立された。介護保険全般を広域連合で行うということで、それぞれの市町にかかる費用の節約のほか、介護に携わる人と福祉施設を互いに利用し合うことで地域格差のない介護サービスを目指すとしている。

 

(イ) 新潟県東蒲原郡4町村

新潟県東蒲原郡の津川町、鹿瀬町、上川村、三川村も介護保険制度全般を共同処理することで検討を進めている。

 

(ウ) 愛知県知多北部3市1町

愛知県の東海市、大府市、知多市、東浦町も広域連合で介護保険に関する事務を幅広く行うことを目指している。広域化は、全国的に見れば過疎地など小さな町村や一つの中核的な市を軸にした取り組みが目立つ中で、人口10万人弱であるが同程度の規模の自治体が共同して取り組もうとしている例は珍しい。人件費の節約、電算処理システムの一本化、民間参入の間口の拡大、それと自治体ごとに不足している部分を補い合うといったメリットがあるとしている。

オ 市町村相互財政安定化事業について

市町村相互財政安定化事業については、介護保険法に規定されている広域的取り組みの手法であるが、実際に検討がなされているのは島根県のみという状態である。これは、財政力の違う市町村の間で保険料を平準化しようとすると、必ず損をするところが出てきてしまい、この隙間を埋める仕組みがないことが、市町村で検討が進まない原因だと考えられる。

 

 

 

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