(エ) 老人保健関係(訪問看護ステーション、老人保健施設、老人病院等)
1] 老人病院の生活環境をいかに整備するか?(治療一辺倒から生活の場への転換)
2] 訪問看護ステーションは病院と連携し、退院患者をどれだけバックアップできるか。
3] 人材(理学療法士、作業療法士などの専門家)をどう揃えるか?
4] リハビリの体制づくりをどうするか?
1]は、老人病院、これからは療養型病床群となっていくが、この生活環境をいかに整備していくか、生活の場として充実させる準備をどのように行うのかが問題になるのではないか。
3]と4]は、大きな問題だと思われるが、リハビリの対応を介護保険にどのように組み込んでいくのか細部が決まっていないため、地方自治体では対応に非常に困っている。例えば、ある市では福祉公社で理学療法士と作業療法士を抱えて地域リハビリ教室を行っているが、これが保険の対象外となるので、市として継続するかどうか決めかねている。リハビリや痴呆ケアが医療と福祉の狭間に抜け落ちてしまいかねない状態が生じている。
また、大きな問題だと推測されるものが、寝たきり予備軍の人がサービスを受けにくくなるのではないかという点である。本来ならば予防に力を入れなければならないのに、その予防効果が余り期待できないようでは施策導入の効果が表れなくなってしまう。
ウ 介護保険導入に伴い、起こりうる財政構造の変化
財政構造の変化を分析することは、介護保険の対象外になるサービスをこれからどのように継続していくのかといった計画を立案するに当たって必要なことである。そこで、人口規模が5千人程度(A町)、5万人程度(B市)、10万人台(C市)、20万人台(D市)の4団体を比較してみた。なお、以下の試算は1998年7月段階で入手可能なデータに基づいて行ったものであり、サービスの単価など細かい部分が決まっていない段階での試算であることをお断りしておく。