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小学校区と中学校区を比べると、運動会に見られる動員力・結束力、PTAとしての活動を考えれば、小学校区の方がコミュニティ性が強く、コミュニティに必要な共同体意識も、普通の住民は小学校区の方により強く感じている。中学校区である南淡町は、地方財政の財布の単位としての機能の方が強いと見ることができる。

次に町内会を見てみる。町内会の欄に○印が記載されているところは檀尻を持っているところであり、祭りの単位となっている。祭りがあるということは、祭礼団があるということであり、非常に強い動員力と結束力を持った組織であると考えることができる。したがって、祭りができる組織である町内会もまた一つのコミュニティとしてとらえることができる。

なお、江戸期の自然村はコミュニティであったと考えられるが、地名を見ると多くの町内会と一致していることがわかる。

一方、淡路島の住民が、東京で出身を問われれば、兵庫県や南淡町ではなく、淡路島と答えるという事実がある。したがって、淡路という一つのまとまりの下に50くらいの小学校単位でのコミュニティがあり、その中にサブコミュニティとしての町内会があるというのが、淡路島の住民の感覚であると考えられる。

淡路1市10町という単位は、コミュニティでもなく、また、まちづくりの単位としては中途半端であり、箱ものをつくるという観点からは、非効率的であり、淡路島全体を一つの基礎的自治体とすべきという意見が出てくるのは、以上のような状況を踏まえたものであると思われる。

人口約2万人の南淡町でも、強い共同体意識に支えられたコミュニティの単位であると断言できない状況から考えてみると、コミュニティと基礎的自治体とが同一である必要はないことが導きだされる。

コミュニティの役割を重視する立場から、市町村合併に反対する意見が出されることがあるが、市町村合併はコミュニティの機能低下に直結するものではなく、むしろ合併後の市町村の中にコミュニティ組織を置き、4層制の地方自治制度(都道府県を廃止し3層制とする考え方もある。)を構築することにより、より上層の住民福祉の向上を図るとする方が実態に即した考え方である。

 

 

 

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