(3) 市町村合併をめぐる論点
ア 基礎的自治体とコミュニティー (1)
市町村の適正規模を論じるに当たっては、一般に「効率化論」と「コミュニティ論」が対立的に取らえられることが多い。団体運営においては規模が大きい方が効率的であり、市町村の規模を大きくすべきであるという議論と、市町村はコミュニティとして、自分の地域をしっかりと把握し、地に足が着いた行政ができるよう規模が小さい方がいいという議論である。
しかし、下記の理由から、基礎的自治体すなわち市町村はコミュニティである必要はないと考える。
1] コミュニティには、自治体、町内会のような地縁に基づく「地縁的コミュニティ」と、ボランティア団体、NPOのような目的に応じた自発的な集まりである「機能的コミュニティ」がある。
現在、「機能的コミュニティ」の方が「地域的コミュニティ」より人気がある。住民が地縁的なつながりよりも機能的なつながりを求めているとすれば、小規模市町村よりも大都市の方が「機能的コミュニティ」を創設又は参加できる機会が多い。
2] 明治の大合併まで7万を超える町村があり、1団体は平均550人位で、江戸時代以来の自然集落を基礎とした地縁的コミュニティであったと考えられるかもしれないが、そうであるなら、3,232市町村となった現在、例え小規模市町村であっても、同じような意味でコミュニティであるということはできない。
イ 基礎的自治体とコミュニティー (2) -淡路島南淡町の分析から-
基礎的自治体とコミュニティとの関係のあり方について、現実に青年会議所などにおいて市町村合併の運動が行われている淡路島を例にとって、町内会、消防団(祭りなどの様々な角度から検証してみた。
図表1-11は、南淡町の変遷と自治組織である。
明治の大合併時の町村は、現在小学校区、大字となっており、昭和の大合併によりできた現在の南淡町は、中学校区となっている。