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ISMコードはどのように船舶の安全に寄与するのか

 

コーディネーター

東大 小山健夫

ISMコードについては既にRR報告会で何回か取上げてきたが、本年7月よりのISMコードのー部実施を機会に、ISMコードを安全運航に効果あるものにするためには何が求められるかを討議するとともに、実施の準備状況について明らかにする。

 

1. ISMコードの認識

 

・安全運航のための組織管理の責任を「会社」とした。

組織には管理が必要である。運輸の世界では鉄道、航空に見られるように、安全確保のため極めて厳格な管理システムが確立されている。

船の世界では管理の必要がないということではない。多くの乗組定員により運航されており、むしろより強い管理体制が必要である。従来、管理体制の確立は船長個人の責任により行われている。

「一旦港を離れると何がおきるかわからない」という伝統的な考え方から、マニュアル的管理は不適当とされてきた。管理責任を「会社」においたことは革命的な変化である。

 

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船の運航を組織として管理するという背景には、船上業務の陸上移管、外国人船員の採用など業務形態の変化とともに技術の進歩がある。従って、時代の必然ともいえる。

欧州の優良管理会社は、組織としての運航管理の実績を既に10年以上にわたってあげている。

・ ISO9000シリーズの流れをくむもの

一般の製造事業所と同じ発想で「輸送サービス」製造プロセスの品質管理を求めている。

「安全な輸送サービス」を提供するための品質管理システムであり、

安全運航管理のPlan-Do-Check-Actサイクルの確立を求めている。

PlanはPDCAサイクル全体にわたる計画であり、自己評価の方法まで規定し、DCサイクルを経てActにおいてPlanの修正を行なう。これにより自律的改善プロセスの創造過程を形成する。

TQMにおけるPlanの位置づけ

(1) 現状分析と問題の認識

(2) 目標の設定

(3) 考慮すべき制約条件の確認

(4) 可能な改善方策の探索

(5) 実施計画の決定

(6) チェック及び評価方法の設定

Accountability

 

 

 

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