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もちろん競争を生まない単なるもたれあいは、独占禁止法等に抵触する可能性はあるが、それは(規制緩和前の)今も状況は同じである。むしろ独占禁止法は、規制緩和後、ダンピングの防止等無秩序な競争を防止するルールになる。

規制緩和に対する評価、反応は様々であり、また、規制緩和によってフェリー業界がいかなる状況になるのか、将来を予測することは極めて困難である。しかしながら、フェリー事業者は、規制緩和より前に、すでに市場原理に基づく、厳しい競争にさらされており、そういう競争の中で現に生き抜いているという事実に目を向けるべきである。むしろ業界内の競争の活性化は、他のモードに対する競争力をつけ、フェリー事業の更なる発展につながるものである。

 

「創意工夫」

長距離フェリーは、昭和43年、神戸〜小倉間に日本ではじめて就航して以来、わが国の高度経済成長期における国内貨物輸送量の飛躍的拡大、モータリゼーションの急速な進展を背景に、急速にその航路網を広げていき、現在では、、国内の旅客及び貨物輸送に不可欠の輸送機能となっているものである。

しかしながら、フェリー事業がある意味「高度経済成長の申し子」的存在である以上、その成長も曲がり角に来ており、事業創業時の驚異的な発展は失われている。また、フェリーは、自動車と人とを一緒に運ぶという画期的ともいえる「チャレンジ精神」から生まれたものであるが、そうした「チャレンジ精神」が、創業当時と同様、現在も業界に行き続けているか疑問なしとしない。

社会の成熟化に伴い、フェリー創業時から利用者のニーズも変化していることは否定できないが、日本の社会にモーダリゼーションが完全に定着し、人流、物流に自動車が不可欠の時代が続く限り、フェリーに対するニーズはなくならないものと考える。そのニーズに如何に対応していくかは事業者自身の手に委ねられているが、今回の規制緩和は、自由な発想から生まれたフェリー事業の原点に立ち戻り、今一度、自由な発想に立って物事を考えるいい機会となる。

 

「希望と勇気」

結局は、規制緩和とは何か特定の政策の実現をねらったものではなく、事業者の事業環境に関する環境整備にすぎないものである。したがって、フェリー事業が今後どうなるかは、最終的には事業者自身の手に委ねられている。

行政改革会議の「最終報告」は以下のような言葉で最後を締めくくっている。

『今、われわれの目の前には、「黒船」も「瓦礫」も存在しない。あるのはわれわれの意思、そして・・・将来に対する希望と勇気である。他の何者かの圧力や強要によってではなく、自らの意思によって、われわれは勇気を持って、この大きな転換期への具体的ステップを踏み出す瞬間を迎えている。』

 

 

 

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