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4)規制緩和の評価

アメリカ航空業界での規制緩和についてはさまざまな評価がある。閉鎖的な業界に規制緩和によって新規参入が増え、他の産業と同じような競争が展開された結果、吸収、合併、倒産が生じた反面、競争に勝つための経営戦略が次々と導入され、企業形態も大きく変化し、業界の「近代化」が進んだ。一方、消費者にとっては、サービス、商品(航空輸送)が多様化し、価格(運賃)も下がり、消費者利益は拡大したといえよう。これこそ、規制緩和のもっとも大きなメリットである。このため、国内線の旅客は規制緩和前に比べて70%も増加し、運賃の割引による利用者の節約分は年間57億ドルに達したと推計されている(ブルッキングス研究所による)。

しかし、「運賃」、「安全性」等については今も論争が続いている(表4-6)。

 

表4-6 運賃と安全性等についての論点

 

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これまでに述べてきたアメリカにおける航空業界の規制緩和の動向をまとめると表4-7のとおりである。

 

<参考文献> 「航空規制緩和」 B.S.ピーターソン、J.グラブ 川口 満訳 成山堂書店

「規制緩和の神話」 P.S.デンプシー、吉田 邦郎など訳 日本評論社

 

 

 

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