・この点については、需要もさほど見込めないこともあり、実現が困難であるといった声も聞かれるが、港湾物流事業者へのアンケート調査でも、所定時間外での対応は比較的容易であるといった結果が得られたことや、実際、荷主企業の業務特性に応じ、サービス時間を柔軟に設定している例も見られることから、何らかの改善措置を講じていく必要がある。
・将来的には、作業の共同化・協業化と相まって、24時間フルオープンでサービスできる体制を構築していくことが望まれるわけであるが、需要との関係もあり早急なる対応は困難であることから、当面の方策として、平日夜間や休日の作業について荷主のニーズに応じてより柔軟な対応をとるようにする必要がある。
・なお、荷主企業からは、労働争議等によるサービス供給の安定性への不安の声も聞かれたことから、サービス時間の延長に当たっては、良好な労使関係の維持にも努力し、荷主企業が感じているサービスの安定面でのマイナスイメージを払拭していくことも重要である。
《具体的方策》
1] サービス時間の弾力化
2] 作業の共同化・協業化によるサービス時間の拡大
1] サービス時間の弾力化
・現在、港頭地区における作業時間は、平日は基本的に午前八時半から午後四時半までで、これを越える場合の作業については事前の予約が必要であったり、休日についてはさらに制約がある等ユーザーにとって使い勝手の悪い部分があるため、これを改善し、荷主ニーズに対応していくことが必要である。
・具体的には、平日サービス時間について料金割増なしでの延長時間帯を設定することや、休日のサービス時間についても、事前の予約や一定以上の貨物量があること等を前提に、より弾力的にサービスを提供する等の改善が必要である。
・なお、上記の対策を講じていくに当たっては、荷主企業の中にはいまだに港頭地区においては休日・夜間の作業が一切行われていないとの認識が残っていることから、積極的にサービス時間の弾力化についてPRし、一層の利用促進を図ることも必要である。
2] 作業の共同化・協業化によるサービス時間の拡大
・サービス時間については、当面は上記1]の方策等によってより柔軟な対応を図っていくことが現実的ではあるが、長期的には、やはり海外の主要港湾で行われているように、通年フルタイム稼働の荷役体制を構築し、いつでも需要に対応できるサービス体制を構築していくことが重要である。
・そのためには、作業の共同化・協業化を促進し、交代勤務体制を確立することにより、港頭地区で24時間作業に対応できる就労体制を組む必要がある。