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2)消費財輸入における企業ニーズ

 

ここでは、先に示した新たな環境変化に対して、業種別から新たな対応ニーズを把握する。ここは主にヒアリング結果等をもとにとりまとめている。

 

1]メーカーからみた新たなニーズ

 

(PL法による輸入貨物検査の厳密化)

PL法施行以降、メーカーでは自社製品に対する安全志向を高めている。コスト削減のため基本的には海外での流通加工も含む検査実施意向が強いが、必ずしも国外での検査では不十分と考えられる貨物もあり、国内での検査体制も強化している場合がある。

今後、海外のメーカーからの輸入増も考えられることから、これら企業によるわが国向けの検査機能等の強化も進むと考えられる。

 

(ジャスト・オン・タイム物流の実施)

国際調達においても在庫圧縮志向を強めており、物流量の大量輸送によるスケールメリットを一方で勘案しながら、適量輸送によるオンタイムな国際物流の構築を目指している。

海外からの調達が増加することが今後とも予想されるが、その中で、JIT物流のような高度な物流も志向され、グローバルな調達ネットワークが構築されるものと考えられる。

 

2]商社、卸売業からみた新たなニーズ

 

(ロジスティクス上での流通加工)

流通の効率性の確保から、ロジスティクス上での流通加工ニーズが強まっている。国内での流通加工が主であるが、可能なものは海外で実施する傾向がでてきている。

 

(サプライチェーン・ネットワーク)

従来、小売情報を所持する業種は卸売業であったが、情報化によりメーカー、小売業とも即時的な小売情報を有することができる状況に近づいてきている。このため、卸売業などでは流通上の立場を確立するため、食品分野等において主導的な立場からのネットワークの構築を図っている。

 

3]量販店等小売業からみた新たなニーズ

 

(開発輸入)

従来、メーカーによる開発輸入は盛んに行われていたが、近年、コスト削減に対応するため量販店による開発輸入が増加している。

量販店では開発輸入に際し、現地において製品開発指導等を行っている。流通革新の進展により流通業務を積極的に実施するようになっている。

 

 

 

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