4. 消費財輸入における新潮流と企業ニーズ
1)消費財輸入における新潮流
1]国際物流拠点の臨海部への再配置
既往の在庫倉庫等が立地コストの安い内陸部、高速道路隣接地域に立地志向していた。しかしながら、近年、輸入消費財が増えることにより、先に示したように多様な物流経路が発生しており、これら多様な物流経路に対応するためには、内陸部よりも臨海部に近接する地域への立地が望ましいと考えられている。臨海部での物流拠点では港湾荷揚げ後、即、自らの物流ハンドリングによる管理が可能となり、柔軟に仕分け配送、迅速配送が可能となるためである。
川崎FAZにおける臨海部への民間荷主企業の進出、大阪港における百貨店の物流機能の強化等がその例と考えられる。
2]小売店等への直納の増加
流通革新の進展により、国際物流貨物のコンテナを直接、小売店に納入するケースがみられ始めている。アイワ、松下等の量販店(販社を含む)までの国際コンテナの直納、韓国企業の店舗別混載商品によるコンテナ仕立て、船社による顧客別混載コンテナ仕立て等がみられる。コスト削減と国内での在庫圧縮が主たる目的であり、家電メーカーでは顧客の最も近い港を可能な限り志向している。
3]ロジスティクス上での生産、流通加工の実施
製品ライフサイクルが短い製品の場合、物流上でアセンブル等の準生産、流通加工等を行い、迅速な店頭陳列を志向している。
これは、近年の消費者の嗜好は急に変化しやすく、タイミング良く、最も商品価値の高い時期に商品を投入する必要があるためである。その場合には可能な限り店舗到着時間を短くする必要がある。このような考えの背景のもと、ロジスティクス上でも生産、流通加工を実施する場合がでてきている。
4]グローバルなサプライチェーン化の進展
サプライチェーンとは、小売情報を小売業、卸売業、メーカー等流通に関わる企業が共有化し、効率的な販売を実施する考え方である。従来、小売情報は、小売業から卸売業、卸売業からメーカーというように、多段階に、遅延しながらメーカーが情報を入手するシステムとなっていた。これでは現在の消費者の急速に変化する嗜好に的確に対応することが難しい。
一方、商品調達はグローバル化しており、グローバルなサプライチェーンが先進企業においては志向されつつある。