序章 調査の概要
1. 調査の背景と目的
近畿圏には都市的感性を有する消費者、コストパフォーマンスを重視する消費者等、消費者二ーズの急激な変化が他地域に先駆け進んでいる。これら消費者における豊かな消費生活の実現のため、消費財輸入の効率化は強く地域から望まれているところである。また、近畿圏には関西国際空港、大阪港、神戸港といったわが国最大規模の輸入拠点を有し、その他近畿圏内の港湾の充実化も進んでおり、これら輸入物流インフラを介し、近畿圏、さらにはわが国全体に対しても効率的な輸入の実現が強く望まれている。
このような状況のもとで、本調査研究は輸入消費財の新潮流とその背景、消費財輸入の効率化のための企業の具体的な取り組みと限界、現状での消費財輸入システムの構築状況とその課題等、根底的な消費財輸入のシステムの解明からアプローチを行っている。さらに、近畿圏が抱える輸入消費財物流の本質的な現状と課題を明らかにし、近畿圏における消費財物流等の効率化の方向と実現化に向けた方策を提案する。
なお、本調査における用語「輸入消費財」は、家電、衣料品、日用雑貨、加工食品、生鮮食品等、輸入される製品、半製品化された一般生活者における消費を目的とされる財のことを示している。
2. 調査の項目
(1)近畿圏における輸入消費財物流の実態把握
(2)近畿圏における輸入消費財物流の効率的システム構築上の課題
(3)近畿圏における輸入消費財物流効率化のあり方
(4)輸入消費財物流効率化のための具体的な方策検討
3. 調査の内容
(1)近畿圏における輸入消費財物流の実態把握
データ分析、各種参考文献分析、アンケート調査、ヒアリング調査等から、わが国におけるマクロ的な輸入消費財物流の動向を把握するとともに、本調査の対象圏域である近畿圏における輸入消費財物流の潮流、輸入消費財のモデル経路等を示している。これら現状の分析から近畿圏内の荷主企業等が輸入消費財物流システムを構築する上での目指す7つの目的を調査結果として示している。