2 交流事業の現状と課題
山村留学は91自治体で実施中(後記の「育てる会」の調査(朝日新聞平成10年8月31日付記事による。図3参照。)とされるが、本村は、山村留学発祥の地と誇っている。
山村留学については、財団法人「育てる会」が、熱心な活動により、八坂、美麻、元木、北相木各村(以上、長野県)、松之山町(新潟県)に学園をもち、1年単位の長期の山村留学のほか、各地で夏・冬・春の短期自然活動を行っており、全国山村留学協会の運営・推進に当っているが、この「育てる会」は、昭和43年八坂村出身の青木孝安氏らによって結成され、47年、法人化され、「財団法人 育てる会」となったものである。青木氏は、昭和25年、長野師範を卒業、長野県教員を経て、昭和28年から東京都で教員をしていたが、「子供達に人間らしく生きた教育ができるのは、自然の豊かさと厳しさを備えた山村でなければならない。」と、42年退職し、育てる会を設立、44年から八坂村で毎年自然教室“育てる会”を開き、50年、八坂村に青少年野外活動センター“やまなみ山荘”を竣功し、51年「育てる村・八坂学園」を開設、現在の形態の山村留学が始められたのである。
山村留学のねらいは、「現代の受験競争・知識一辺倒の詰め込み教育では、子供は人間らしく育たない。自然の中で身体を動かしながら生活することこそ人間本来の生き方である。子供達に思い切りのびのびと自然教育を体験させたい」というところにあるとされる。八坂村では、1か月の半分を里親である農家で、半分を野外活動センターという寮ですごす里親寮併用方式で、1年間が単位となっている。