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スティグマの程度に影響及ぼす要因を取り出し、分析するためには、回復者と一緒になって取組むことが大切である。そうすれば、適切な対策を立てることができ、病気に対する誤解や、病気の影響を受けている人々への誤ったイメージを正すことができる。

◇ 多くの国でヘルス・ワーカー側の態度を変えることが必要である。というのも、ヘルス・ワーカーのコミュニケーションの技能が乏しいために、回復者にステイグマ、自尊心の低下、絶望感を与えるといった重大な問題を招いているからである。保健行政に携わる人々の差別的な姿勢にも取組む必要がある。

◇ 社会的・心理的な問題を引き起こすようなことへの対処がもっとも重要である。学校や大学での研修カリキュラムには、社会的・心理的な局面も組み込むべきである。

◇ 他の人々に、一人の人格を持つ人間として理解されるためには、回復者自身が自分を表現する機会を持つことが、重要である。

◇ 理解が得られなければ、(外見的に障害がない人々でさえ)自分自身に対するスティグマを持ってしまう可能性が高い。

◇ WHOやその他影響力のある組織による心理的・社会的課題への取り組みが非常に重要である。

 

提言:

 

1.  文化の違いを考慮してある、適切な用語を考えるためのガイドラインを、回復者の側からの意見を反映して作成・出版し、各地に配布するべきである。

2.  回復者の社会的・経済的状況が改善されれば、自分に対して自信が生まれ、社会から取り残されるようなこともない。技術を身につける訓練や融資制度があれば、彼らは能力を高め、完全な社会参加が可能になり、尊厳をもって、充実した人生を送ることができる。

3.  世界中の差別的な法律や慣習の一覧を作ること。回復者個人や協会は、こうした法律や慣習の撤廃に向けて一般の人々をも総動員し、結束して立ち上がるべきである。

4.  医療的な問題や社会的・心理的なニーズに取り組むための情報や資料の作成には、回復者の意見が反映されるべきである。

5.  ハンセン病に関する問題への政策立案者達の取り組み方を新するために、独創的な戦略を考えなければならない。

6.  適切な保健教育の方針の開発と伝えるべきメッセージを明確にするために、スティグマにつながる要素を調査・分析すべきである。メディアをフルに活用し、プロのジャーナリスト界やメディア一般が、常にハンセン病関連の問題を取り上げるように働きかける必要がある。

7.  誤った情報を伝えることを防ぐために、一般大衆やヘルス・ワーカー向けのハンセン病に関する保健教育を強化するべきである。

8.  すべてのヘルスケア・ワーカーに、コミュニケーションスキル向上の訓練が必要である。

9.  学校や大学のカリキュラムには、ハンセン病の社会的・心理的局面が含まれるべきである。

 

 

 

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