国連展示の開催を祝う書簡の中で、ジミー・カーター元米国大統領は、『ハンセン病に対する社会のこれまでの反応は、正しい知識と理解にもとづいたものではなく、恐怖心にもとづいたものでした。ハンセン病は治る病気となり、回復者のなかには数多くの非常に優れた合衆国国民がいられます』と述べ、『尊厳の確立というテーマは、われわれが過去を検証し、恐怖心を正しい知識と理解におきかえるように迫っています』という表現で書簡を締めくくっています。
開会式はハワイの語り部、マキア・マロ氏の深く心に滲みとおるハワイの詠唱で幕を開けました。マキア・マロ氏は、その特技で人を楽しませると同時に、ハンセン病の啓発に努めている方です。開会式のテープカットには、国連事務総長のコフィ、・アナン氏、世界保健機関事務局長の中嶋宏氏、日本財団理事長の笹川陽平氏、アイデア会長のP.K.ゴパール氏と鄭相權氏などが参列し、挨拶を述べました。
WHO事務局長の中嶋宏氏は、ハンセン病の化学療法(MDT)の画期的な成功について詳しく経緯を述べ、さらに『ハンセン病との戦いに医療面では勝利を収めつつあります。しかしながら、この病気を社会的にも制圧することは同じように重要なことです。展示のテーマが宣言しているように、この展示は人間の尊厳という人類共通の問題に関わるものです。私たちが追求するのは、ハンセン病の患者・回復者全ての、人間としての尊厳を回復することです。このことは同時に、私たち自身の尊厳を、個人としても人類全体としても取り戻すことであります。人類同胞の一人ひとりの尊厳を認め、擁護しなくてはなりません』と呼びかけました。
日本財団理事長の笹川陽平氏の挨拶には、社会の啓発に積極的にとりくんでいる回復者一人ひとりに対する賞賛が込められていました。開会式の場には9カ国から25人の回復者が参列し、彼らの役割の重要性に焦点を当てる笹川氏のスピーチに耳を傾けました。笹川陽平氏は、開会式のあと開かれたディナーの席上で、この25人の人たちの勇気と努力を讃えて一人ひとりに「敢闘賞」(メダル)を贈呈し次のように語りかけ感銘をよびました。