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3月8日(日)

 

○本日のスケジュール・内容

マニラ市内フィールド視察

A班…トンド地区のスラム街(母親たちの運営による小学校)視察

B班…レベリレッサ地区(カトリック教団体による家族計画プロジェクト)視察

Ayala Museum見学

NGO(Dawn)訪問…VTRと講話による活動概要説明

 

午前A班

・CPCD(Concerned Parents For Community Development Day Care Center)

トンド地区のあるコミュニティーの母親が子供の環境改善のために始めたボランティア団体。始まった当時1986年2月には300家族がメンバーでしたが、今では820家族を超えています(この地区には約900家族あります)。ここでは、小学校へあがる前の子供たちにフィリピン語、英語、科学、数学、芸術を教え、小学校を卒業できるようにサポートしています。さらに給食活動を行い、子供たちに勉強できる環境を整える努力もしています。また、昨年から健康診断などの保健プログラムを開始して、子供たちの健康問題にも取り組み始めました。

個々の活動資金は、ある日本の宗教団体から3分の1くらいを援助していただいているだけで、後は自己負担で授業料60ペソ/一ヶ月と給食費5ペソ/一回を子供の親が支払うようになっています(この地区に住む方の平均収入は約400ペソ/1週間です)。しかし、親の経済状態が厳しく、実際支払えるのは生徒200人中30人前後だけだそうです。支払えない親はセンターで働いて返すことになっています。

この組織ができるまでは同じ目的意識を持つ母親が集まりボランティアの家の隅で始め、それがどんどん広がり大きくなりました。そして、そのような活動に対して援助をしたいという申し出があったのを契機に、大きくなった集まりは援助をもらうために政府に登録しNGO団体となり、組織作りをしました。この組織は大変しっかりしており、母親を中心とした運営で、自分たちで自分たちに必要なことを見つけ実行していくようになっています。給食活動だけでなく栄養教育を1987年から、そして昨年1997年からは保健プログラムを始め、自分たちの力で少しずつ身の回りの環境改善をすすめています。

 

○感想

私たちを迎えてくれたCPCDのお母さんたちはとてもパワフルでした。だいたい5メートル*8メートルくらいの小さくて細長い(3階建て)建物の中で、みんなで生徒用の小さな椅子に座りここでの活動などについて話しを聞いている間も、そばで10人くらいのお母さんがにこにこしながら聞いていました。中心になっているリンダさんが他の人に助言を求めると、ある人は照れながら、またある人は私が答えるのよという感じで勢いよく答えてくれました。これらのお母さんを見ていると、スラムというどうしても「すさんだ環境」というイメージがあったのですが、「すさんでいる」どころか日本より「澄んでいる」ような感じがしました。これらの純真なお母さん方は子供のための環境改善に対して自分たちで努力しています。私は親が子供のために努力している様子になぜか感動してしまいました。それは、日本で核家族化が進み親と子供のコミュニケーションがうまく行かなくなってきていることと比べたからかもしれません。

 

 

 

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