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本年度は日本で購入して携行器材として持参した薬品の他、ミンテゾール、クロロキン、アルスマックス、パラセタモールなど一部の駆虫剤を現地で購入して受診者に投与し、残りをバンザ村とウワンゴの診療所および保健省に供与した。また保健省より貸与された自動車の礼としてペニシリン、ガシゲなどの抗生物質や胃腸薬も現地で購入し、バンギー中央病院と保健省に供与した。

昨年度までに供与した薬品類は有効に使用され、他の供与器材もバンギー中央病院、バンギー社会病院、バンギー友好病院を始め、他地区の病院でも丁寧に保管、使用され、十分に活用されていた。なお昨年供与した遠心器は保健省の地方医務局にそのまま保管され、我々調査団が使用出来るように配慮されていた。今回はパタセ大統領にお会いする機会はなかったが、飯沢参事官、黒沢医務官と共に会合を持った折に大統領主治医のザフィオ医師を通じてパタセ大統領が大変感謝をしている旨の伝言が伝えられた。旧知のチモサ保健大臣はじめ保健省幹部および関係者も笹川記念保健協力財団の継続的な医療援助に深く感謝している。

 

今後の援助に対する検討事項

 

中央アフリカ共和国のパタセ大統領からはザフィオ医師を通じて永年継続されている笹川記念保健協力財団の医療援助に対する感謝の意が表された。また元保健省の総務局長であり現在は保健大臣であるチモサ医師を始め保健省関係者も会談の折に1975年以来継続されている笹川記念保健協力財団の医療援助に対して感謝の意が表され、これまでに供与した器材が多くの病院で大いに役立っている旨報告された。特に政情不安といわれている昨年度と本年度に続けて調査団が現地に赴いて検診を実施したことを中央アフリカ政府で高く評価され、また感謝された。本年度も日本から電話連絡で依頼したにも拘らず保健省の車両の手配を始め日本に留学した経験のあるヤヤ医師とコバンゲ医師などが調査団滞在中は行動を共にするように配慮がなされ、また首都圏から出るときに必要な公用の通行許可証もヤシポ地方医務局長が我々の現地到着前に準備してくれているなど、本プロジェクトが中央アフリカ共和国にとって如何に重要な位置を占めているかを再認識することが出来た。従って今後の医療協力の遂行には政情が安定していれば問題がなく、同国の方針として医療保健対策が重要視されているので、中央アフリカ共和国に対する援助の継続が好ましいと判断される。

なお1998年4月でフランス軍は完全に撤退し、現在はアフリカPKOとして国連軍が派遣されている。ただこの国連軍は首都のバンギー近郊にのみ駐留しており、地方特にスーダン国境に近い東部地域では未だ政情が安定していないとのことであった。在中央アフリカ共和国の日本大使館の川合大使および飯沢参事官のお話では8月の大統領選挙の結果で政情も安定するのではないかとのことであった。

中央アフリカ共和国の経済状態をみると、笹川記念保健協力財団が行っている寄生虫症対策プロジェクトを同国のみで遂行することはかなり困難であると言わざるを得ないが、現場で医療業務に携わっている医師、看護士、検査技師などがかなりその技術を身につけているので、近い将来に同国のみでの保健衛生対策が確立されることを期待したい。それまでは中央アフリカ共和国に対する援助の継続は必要であり、また好ましいと判断される。

 

 

 

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