昨年度の1998年3月に採血を行い、本年度にその成績が得られたバンザ村の血液検査の成績は、一般住民34名の中23名(67.6%)が糸状虫ミクロフィラリア陽性であり、ロア糸状虫陽性者は11名(32.4%)、常在糸状虫陽性者は21名(61.8%)で、両種の混合感染者は9名(26.5%)であった。またマラリア原虫は34名中8名(23.5%)が陽性で、その中3名(8.8%)が熱帯熱マラリア原虫陽性、7名(20.6%)が四日熱マラリア原虫陽性で、両種の混合感染者は2名(5.9%)であった。バンザ村では糸状虫では常在糸状虫感染者、マラリアでは四日熱マラリア原虫感染者の方が多かった。また本年度の1999年3月にはバンザ村の108名について指頭採血を実施し、その標本を日本に持ち帰り、血中ミクロフィラリアとマラリア原虫の検索を現在実施中である。
また現地の検査技師が実施したウワンゴ診療所の成績は、外来患者211名中、寄生虫症患者129名で、その内訳は鉤虫症38名、蛔虫症15名、マンソン住血吸虫症10名、ビルハルツ住血吸虫症8名、マラリア35名で、重複感染者は2種類感染者が21名、3種類感染者が3名であった。このように現地の看護士および検査技師が独自に寄生虫の検査、診断が出来るのは継続されている笹川記念保健協力財団の寄生虫対策調査が徐々にではあるが効果を現しているからだと判断される。なお中央アフリカ共和国では慢性的な薬剤不足と11ヶ月に及ぶ医療従事者に対する給料遅配の問題があるので、今後は現地で調達出来るトラディショナルな薬剤の検討も必要ではないかと思われる。ただ疫学的にみても当分の間はこれらの検討と並行して笹川記念保健協力財団の調査団による検診および治療も継続することが必要であると考えられる。
本年度の供与器材薬品
本年度は調査団が辻一人であることおよび滞在期間が短期であることから、薬品を主体にした供与器材は別送にせず全て携行した。今回携行した薬品および現地で購入した薬剤は今回の調査使用後に現地中央アフリカ政府の保健省に供与した。
1. プラジカンテル(600mg/錠) 408錠
2. コンバントリン(100mg/錠) 10,000錠
3. フラジール(250mg/錠) 400錠
4. スパトエン(50mg/錠) 2,000錠
5. インスタント・フィルム(健康手帳用) 300人分
6. 現地購入医薬品 12,000人分
