へき地医療の体験に基づく学術論文1998年(No.7)審査結果
審査委員長 高久史麿 選評
へき地医療の体験に基づく学術論文の投稿が平成10年度も14編あった。いずれもへき地の医療に密接に関連した良い論文であったが,その中でも岡崎禮治氏の小児気管支喘息に対する離島での対策は,著者の長い間のライフワークをまとめた論文であり,へき地医療の体験に基づく学術論文最優秀賞に相応しい論文であると考えられた。又優秀賞となった,田中敬三,古川誠二の両氏の論文もいずれもへき地医療に密接に関連した興味深い成績,或いは島での包括医療の原点を示した優れた論文であり,読者に感銘を与える良い論文であった。更に,佳作となった7編もへき地医療に関係の深い論文であったが,優秀賞の数には制限があるために佳作とさせていただいた。
今年の論文の質は例年よりも高いという感じを受けた。この賞のことがへき地で医療に従事しておられる方々に,更に周知されるように望んでいる。
最優秀賞 離島の特性を生かした小児気管支喘息に対する治療とその効果
熊本県・龍ヶ岳町立上天草総合病院名誉院長 岡崎禮治
優秀賞 過疎地域に住む学童のツベルクリン反応に関する疫学的研究
―特に,その影響要因について―
新潟県・寺泊町国保診療所 田中敬三
優秀賞 共に生きる心 ―与論島の終末医療から―
鹿児島県・医療法人誠友会パナウル診療所 古川誠二
佳作 右下腹部痛を有し,大腸内視鏡検査にて回腸末端部に病変を認めた5症例