日本財団 図書館


は じ め に

 

発刊にあたって

 

厚生省健康政策局長 小林秀資

 

現在わが国は本格的な高齢・少子社会に突入しつつあり,疾病構造の変化や景気の落ち込み,国民の医療に対する意識構造の変化など保健医療を取り巻く環境が急速に変化しつつあります。

こうした状況で,要介護者の増大に対応した介護体制の整備や,医療需要の変化に対応した医療提供体制の整備を図る必要性から,改正医療法が平成10年4月から施行され, また,介護保険法が平成12年4月からの施行が予定されています。今後の介護需要及び医療需要を確実に見据えて,より良質かつ適切な医療提供体制の確保が必要であります。また,21世紀に向けての医療提供体制のあり方が医療審議会において検討されており,入院医療を提供する体制の整備,医療計画の見直し,医療における情報提供の推進,医師・歯科医師の資質の向上等について議論が進められているところです。

へき地保健医療対策は,無医地区住民の保健及び医療サービスを確保するため,昭和31年度以降,へき地中核病院,へき地診療所及びへき地保健指導所の整備,機動力の確保,へき地勤務医師の確保,医療情報システムの導入,研修機能の充実強化等の事業を7次にわたる年次計画に基づいて推進してきました。これらの施策により,へき地における保健医療水準の着実な向上が図られてきました。また,へき地保健医療のさらなる確保を目標に,平成8年度より平成12年度までの5ヵ年を計画期間とした第8次計画を実施しているところであり,今後とも無医地区の医療の拡充等に努めて参りたいと考えております。加えて,先に申し上げた医療法の改正により,都道府県が策定する医療計画において,へき地の医療の確保に関する事項が任意的記載事項から必要的記載事項となったことから,山村・離島などのへき地における保健医療対策の一層の充実が期待されるところであります。

さらに,平成11年度において,今後のへき地保健医療のあり方について検討会を厚生省に設置することを予定しており,へき地医療関係者及び有識者等からの活発な議論が期待されます。

この「へき地医療の体験に基づく学術論文集」は,現にへき地医療に従事されている皆様方の日常の研究成果を集めたものです。皆様の活発な活動の一端を知ることができ,意を強くするとともに,今後の皆様方のより一層の御活躍に期待する次第であります。

本誌が,へき地保健医療の向上に広く寄与され,今後ますます発展されることを祈念いたしまして,刊行にあたっての言葉といたします。

 

(厚生省 〒100-8045 東京都千代田区霞が関1-2-2)

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION