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IACSメンバーは、沢山の研究及び開発と、永年の間、適用されて来ている船体構造、並びに主要なエンジニアリングシステムに対する検査報告からのフィードバックに基づいて規則を作成して来ている。事実、ある種の規則は100年以上の歴史を有し、管轄官庁が、権威ある船舶安全の立法化を行う十分以前から存在するものである。結果として、船体構造や、主要なエンジニアリングシステムに関して、個々の管轄官庁が立法化を行う必要が無いのが現状である。また、船舶の安全に付いてのこれらの基本項目に対する詳細要求を、IMO決議として定める必要も無いのである。

 

にも拘わらず、1960 SOLAS決議、及びこれに続く1974 SOLAS決議は、貨物船安全構造証書(SAFCON)、あるいは旅客船安全証書のどちらかの発行には、これらの決議の適用を要求している。これらの証書の発行の条件は、船体構造及び主要なエンジニアリングシステムが、意図した用途に適したものであることである。SOLAS 60、あるいはSOLAS 74共に、これらの項目に対する詳細規則を含んでいない。SOLAS 60が効力を発した1965年以来、主要な船級協会の規則を満足することが、SAFCON及び旅客船証書の発行の基本となっていることは、暗黙の了解事項である。

 

1998年7月1日の、SOLAS規則II-1/3-1の効力発生によって、これまで暗黙の要求として了解されていたことが、はっきりとした要求事項となる。この規則は、船舶は、SOLAS規則XI/1の条項に従って、管轄官庁によって認定された船級協会の、構造、機関及び電気の要求事項を満足して設計され、建造され、保守されることを要求している。全てのIACSメンバーは、このように認識している。

 

船舶の構造及び主要なエンジニアリングシステムの分野にISO/TC 8が関係することは、これらの事項に対する船級協会規則の作成に係わるIACSメンバーと衝突することは明白である。非常に僅かでも、これらの分野でISOが係わることは、努力の二重化となり、しかも、ISOによって作成される規格は、IACSメンバーにより船級目的で作成される規則とは異なったものとなることは十分可能性のあることである。このことは、産業界に混乱を引き起こし、さらに、IMO規格、あるいは、IACSメンバーの船級規則のどちらを適用すればよいのかという問題をも引き起こす。この観点から、SOLAS規則II-1/3-1が、法令の基本として、船級協会の要求を満足することを要求するものであり、船級規則は、確実にIMO規則の上位に位置づけられるものとしなければならない。

 

皆さん、IACSは、衝突や混乱を起こすことの無い分野での、各種装備品に対する規格の作成に当たるISOの全く正しい係わりについて関係するつもりはない。しかしながら、上で述べた様に、船舶の構造、及び主要なエンジニアリングシステムの分野では、衝突を確実に起こし、かつ、重大な混乱を招くことが考えられる。こうした問題には、正直に、かつ、現実的に、十分な決意を持って取り組まねばならない。IACSとISOとの間の衝突は、相互の係わり合いの場を明確にすることで避けなければならない。

 

 

 

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