総括
シンポジウムには、調査事業参加者、県、市関係者、市の様々な団体、市民ら50名以上が集まり、密度の濃い話し合いを持つことができた。
このシンポジウムを通じて明らかになったことをまとめてみよう。
まず、水俣市そのものには、人的、地域的、地理的、自然環境的、歴史的視点からみて、グリーンツーリズムを社会的に成立させる要件が整っているという前提が明らかになった。
次に、グリーンツーリズムの取り組みは、芽が出てはいるが、具体的な手法、経済構造、本格化した際のキャパシティーなどの問題がまったく未解決であるという問題点である。
その解決に向けた取り組みに対し、いくつもの提言が行なわれた。
・組織と個人の関係を、階層ではなくネットワーク的な形で組み上げること。
・ネットワークの中から、必要な窓口づくりやしかけを生み出すこと。
・グリーンツーリズムのプログラムには、参加する人の「個」を前提とした柔軟さが必要になること。
・受入れ側が楽しめる範囲、負担にならない範囲をネットワークとして形成し、それをもって受入れ範囲を決めていくこと。
・固定化したプログラム、集団受入れを目的としたプログラムは、グリーンツーリズムとはなじまないこと。
・食や時間など「日常」を、旅行者という「非日常」の人たちにどのように表現するのかを試行錯誤することで、グリーンツーリズムのプログラムは形成されていくだろうこと。
もちろん、シンポジウムの議事録には、これら箇条書きでは整理できない、人と自然と地域のおりなす「非文章的な空間」が語られている。そして、その「非文章的な空間」にこそ、参加者がグリーンツーリズムの可能性を見ていることは間違いない。
本事業を通じ、水俣市のゲリーンツーリズムのあり方の方向性が、参加したメンパーから、地域に広がることを期待できる内容であった。