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総括

 

「地域はどうすれば活性化するのか」をテーマに、シンポジウムを開催し、その幕が閉じられた。4道県、7件の報告は、それぞれに興味深いが、まったくことなる文化のなかで、その地域文化の中から生まれたリーダーが、独自の手法を構築し、また、独自の哲学をもって、実践していることを痛感した。ここからは、共通項を導き出すことはできても、その共通項を実践すれば、住民自治への道を歩めるわけではないことをも感じた。しかし共通している要因は、最低必要条件として存在していなければならないものであること、その条件に加えて、地域固有の文化と風上の上に、そこに住む人々が納得できるビジョンを構築し、緩やかに、リーダーによる実践の積み上げが必要であり、共感する人の和を徐々に広げ、外の風を活用し、緩やかに制度を構築していくことが必要であることが認識された。

シンポジウム参加者は、その違いと地域毎に異なる足跡を痛感した。そして、一休みしていた地域は、再び、活性化に向けた努力を行う意思を明確にした。北海道標茶町にある8地区の今後の歩みに多いに期待をしたい。シンポジウムの後、栄地区では、新たな活動が開始され始めた。課題の再整理と目標設定、そして、学習と交流の開始。この動きが、標茶町全域に飛び火することを多いに期待したい。

このシンポジウム記録が、作成したビデオや、メディア情報とともに、他の地区を刺激する学習教材になるよう今後整備を続けていきたい。

最後に、シンポジウム参加者の声を拾ってみた。

・宮崎県諸塚村の自治公民館を中心とする活動報告を受けて、平成8年欧州研修をさせていただいたドイツの山岳酪農地帯も公民館活動が中心になり、ボランティアで活動しており、高齢者も古い建物の保全や環境活動をしておる様子を見て、諸塚村の人々と重複する思いで聞きました。ボランティアという言葉もドイツ語であると聞きました。古い集落から勇気を持って替えて行くことが如何に大変かをしらされ意義ある参加でした。

・活性化は地方で進んでいることを実感しました。各地のそれぞれの条件のなかでの取り組みは素晴らしく、我々は、日常的にどうすべきかを追求したいです。

・行政主導ではなく、あくまでも住民主導型であること。その住民がまちづくり、むらづくりの理念を持ていること。あらためて、まちづくりは人づくりであることを痛感しました。

・地方自治体職員、団体職員、NPOリーダーを対象とした技術論や法律論のシンポジウムが多い中で、今回のシンポジウムは、「住民自治」「民主主義」という地域を運営していく上で、最も基本的で重要な考え方を再認識させてくれました。また、地元の産品で、地元の人材で、地域住民の幸せのために、地域産業の振興のためにというような「自治」の原点を見直す必要を感じました。

・「地域の活性化の種子は地域にある」住民自身が地域のことを楽しみながら学び、課題を解決していく。このことが住民を元気にしていくことにつながることを再認識しました。説得力と力づよさを痛感じました。

・地域の人が自ら考え、行動し、村おこしを実施している素晴らしい事例発表を聞くことができ非常に有意義でした。どの地域も活発な住民活動を展開しており心強く感じました。「地域はどうすれば活性化するのか」この答えは、難しいが、一ついえることは、元気に住民活動をリードする人・グループを如何に育てていくかにあるのではなかろうか。最後に印象に残った一言を!「死ぬまで働ける環境を整備することが必要である」このことは、農業者の高齢化対策に重要なキーか?(高齢者に向けたあらたな産業が必要)

・「自分の住んでいる地域がこのままではどうしよう」という危機感を持って参加しました。道外での取り組みでは、やはり歴史の重みのようなものを感じました。北海道は歴史が浅いからうらやましい。いろいろなプランが自由にいえる。というようなお話しを小国町長がされていたのが印象的でした。事例発表はどれもが、これから私たちが取り組みたいこととオーバーラップしました。小さいことからでも良いから、動きださなくてはといった刺激を受けました。本当の豊かさといったもの、日常生活の中で育つ文化の必要性、重要性のこと、経済、環境のとらえ方を学びました。

 

 

 

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