秋田地域環境保全型
里地づくり調査報告書
「森で遊び林業を考える学校」から
新「森の学校」へ
調査概要
日本の国土の3分の2は森林。森林面積のうち人工針葉樹林は40%、天然針葉樹林は10%とされている。国土の約3分の1を占める針葉樹林は、かつて経済林として維持管理されてきたが、現在は、経済的に成り立たず、林業を職業とする人々が減少し、若者は森を離れ、過疎化が急速に進んでいる。人工林から人が離れると、下草は伸び、枝打ちはされず、森の機能は低下し、材としての活用ができないだけではなく、地表面が荒れていく。そして、人々は一層、森に背を向けてしまう。
「秋田杉」の産地として著名な秋田県二ツ井町においても、状況は深刻であった。そこで、秋田県二ツ井町では、森で暮すさまざまな仲間たち、森の機能、森と人との関わり、森と林業、日本の環境に適した住まいと国産材、経済林について学び考えることを目的に、平成8年夏から平成9年の春にかけて、夏、秋、冬、春の4回、「森で遊び林業を考える学校」を開催した。都市に住む国産材の家を造りたいという人、設計士、製材所、公務店、住宅生協の企画担当者、学校の先生等が参加し、人と森と木と生活の在り方に関して、季節毎の森の姿を観察しながら、また、秋田の生活文化をともに体験しながら議論を行なってきた。こうした取組は、過疎・高齢化に悩む日本の中山間地域の中でも、パイロット的な取組として全国の注目を集めている。
本調査では、これまでの秋田県二ツ井町における取組について、関係者からのヒアリング、参加者へのアンケート調査等を通じて評価を行うとともに、森の学校事業の新たな展開に向けて提言を行う。
なお、本調査については、東北地域環境保全型里地づくりセミナー実行委員会にご協力いただいた。
<東北地域環境保全型里地づくり研究会>