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集落の実態

以上の取組によって、標茶町では、早いところで2〜3年、多くは7〜10年かかって集落再編が行われるようになった。それによって、昭和60年当時101あった集落は、平成7年までに16の地域振興会に生まれかわった。しかし、まだ未再編の集落が10ある。下沼幌以外、小学校がなかったところか、なくなったところである。ということは、小学校の有無が地域の総合力に影響していると捉えられる。

集落再編による活動の促進は、自主性の高まりと地域の成長をもたらし、自分たちがやるべきこと、地域がやるべきこと、行政がやるべきこと、農協がやるべきこと、他と協力してやるべきこと、等の役割分担意識を生み、住民の責任感もでてきている。現在では、7地区と1地区(但し、この地区には、調整しきれない多くの地区が散在している)

 

<標茶町の取組の現状>

 

1A1P事業の概要

「1つのエリアに、1つのプライド」を意味し、一つの地域で一つの誇りを持つ運動を進める事業が、行われている。事業種目には制限はない。

地域範囲は、現在の町内会、部落会及び地域振興会や、それらの連合体も含み、各会30戸以上を目安としている。

町の支援は、事業費の4分の3以内で最高300万円を限度として補助金の交付をする。

期間は、最高三年間まで継続して補助金の交付を受けられる。

 

行政職員の熱心な取り組みと集会所建設への支援、「1A1P運動」の推進により、標茶町住民は、地区の範囲の検討と再編まで含めた住民による検討(住民自治・行政参加)を行おうとしている。逆に言えば、広大な土地をもつ標茶町では、25年前から、人口と世帯の減少による集落機能の崩壊の危機から、行政主導型の町づくり、別な言い方をすれば、予算配分と公共事業の内容を、議会と行政で定めていったのでは、唯でさえ広大な地域故に、まんべんなく公共事業を行うことは不可能であり、投下する資金は薄く広くなるか、一部に集中せざるを得ないようになる。この段階でさえ、全住民の意志に則した施策とはなりえず、不公平さ、不十分さを訴える住民からの行政批判は付きまとうことになる。いわんや、公共事業に対する利権が絡んだような場合は、住民の意志とはかけ離れた施策を行うこととなり、行政批判は強くなるばかりであろうし、場合によっては、行政不信を招き住民不在の施策が行われるようになる(全国の町村はこの傾向が大きいのではないだろうか)。利権を排し住民の為になる町づくり、それは、住民自身が自らのために何を成すべきか、住民活動への行政の参加がもっとも効率的であり効果的な施策と言える。この施策が、標茶町で実践されているように思える。

 

この住民自治の流れは、既に昭和50年からスタートし、25年の歳月を経ていることになる。そして、この住民自治(行政参加)の流れは、今日も、現在の集落再編の動きと地域整備計画の立案にむけた住民自治の活動を一歩一歩歩んでいることになる。

 

 

 

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