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劇団プークのワークショップでは小さな子や、作り方がわからない子の手伝いや指導を小学生に、運動会の時には設営や用具の出し入れ等を高校生にお願いした。日々ボランティアに関心のある子どもたちだったので、児童館の子どもの中に溶け込み、競技に参加している子以上に生き生きとした様子だった。児童館の子どもたちは元気なお姉さんたちの出現に少し戸惑いながらも、楽しそうな声が聞かれた。

マザーズ・ネットワークは、児童館でともに活動していく中でつながりができ、毎年の児童館行事にも誘いあって来てくれる。「先生、今年もうどんするんな? 何人分つくるん?」とやってきて、わくわくフェスティバルの数日前にはノートを手に「昨年は300食で鍋2杯だったけど、今年は500食やから4杯は作らないかん。煮干しはあの店のがいいだしが出る。」とにぎやか。子どもが大きくなって児童館から足が遠のいていた人たちも、児童館のためにがんばりながら親交を深めていた。

ボランティアコーディネーターの指定を受け、一番の成果は、子どもも大人も児童館を身近なものと受け入れてくれる人が増えたこと。もう一つは、私たち児童館で働く職員がまわりの社会に対しての情報の感度がよくなったことが挙げられる。

1月30日の新年子ども会の朝、犬を連れて散歩しているおばあさんが「先生、今回はええ天気でよかったな。有線で児童館の放送聞いたときに、昨日みたいに寒かったら困るわなと思いよったんや。」と温かい言葉をかけてくれた。児童館のことを自分のことのように心配し、気にかけてくれたことがうれしかった。それは、開かれた児童館づくりをめざす、私たちの姿勢を応援する姿のように思われてありがたかった。

 

今後の課題

今年度は周辺の人たちに手伝ってもらいながら活動してきたが、今後は地域の人と意見の交流を大切にし、自発的ボランティアへと成長させていくあり方を探っていきたい。また、地域社会の中で専門的知識・能力を持つ人の発見・発掘にも努めていきたいと思う。

児童館の子どもたちが地域の人たちの力で伸びていくことは、地域に根ざした児童館、開かれた児童館となりうると考え、日々の人と人のつながりを大切にしていきたい。

 

 

 

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