1. 日本という地域
「Think globaly,Act locally」とは「地球規模で考え、地域から行動を起こす」というような意味で、環境問題に取り組む市民の合言葉になっています。地球環境も地域が集まったものですから、地域は自然保護や環境保全のキーワードといえます。
まず、日本という地域を見てみましょう。地理的分布では旧北区に属するといわれ、ヨーロッパと同じ地区になりますが、奄美大島以南は東洋区になります。東洋区はインドや南アジアなど熱帯、または亜熱帯性の地域です。旧北区は、北米も含めて全北区(その場合は旧北区でなく、旧北亜区)とも呼ばれます。
日本の自然は、火山、複雑な地形、急峻な川、ゆたかな緑、四季の変化などが特徴です。
文化面ではアイヌ文化がネイティブアメリカンやアボリジニとともに、自然と共存してきた文化として注目されますが、近年、西欧の乾燥地の文化に対し、3千年前に入ってきたとされる稲作文化が、豊かな水と緑を維持してきたという側面も見直されるようになりました。
日本の鳥の特徴としては、北方系や南方系の鳥が入り交じっているので、種類は豊富といえます。絶滅種と考えられるものにリュウキュウカラスバト、オガサワラカラスバト、ミヤコショウビン、オガナワラガビチョウ、オガサワラマシコがあり、国内では絶滅したと思われるもの(国外では生息)に、ハシブトゴイ、マミジロクイナ、キタタキがあります。
移動習性でわけると、『フィールドガイド日本の野鳥』(高野伸二,日本野鳥の会)によれば留鳥約36%、冬鳥約22%、夏鳥約10%、旅鳥約15%、迷鳥約16%となります。世界的には陸鳥が約90%を占める中で、日本では半数以上が水鳥であり、水鳥が多いことも特徴といえます。
日本国有種と呼べるものにヤマドリ、ヤンバルクイナ、アマミヤマシギ、アオゲラ、ノグチゲラ、セグロセキレイ、カヤクグリ、アカヒゲ、アカコッコ、メグロ、ルリカケスがおり、繁殖地がほぼ日本国内だけというものにクロウミツバメ、ミゾゴイ、オオジシギ、カンムリウミスズメ、コマドリ、イイジマムシタイ、ノジコがあります。他にもカラスバト、アカハラ、クロジ、コムクドリなど日本近辺のみで繁殖しているものがいます。なお、種の保存法や天然記念物法にもとづく指定種は、『新・山野の鳥』、『新・水辺の鳥』でマークがついています。国鳥は、日本鳥学会でキジに指定されています。
「バードウォッチング案内人」として覚えておきたいことは、国際的な野鳥保護や自然保護の分野では、日本はアジアの中核となることが求められているということです。