5. 生物の多様性は、地域や環境によって変化する。森林にすむ鳥の例では、階層構造のより発達した林に、またより広大な面積の林に、より多くの種がすむ。
6. 生物の多様性を保護するということは、多様性の高い特定の地域や環境を保護することでは必ずしもなく、それぞれの地域、環境に本来ある多様な生物の世界を保護するということである。しかし、手つかずの自然がすでに減少してしまっている現状では、人手の入った二次的な自然の中にいかに多様な生物の世界をつくりだすかが、今後の重要な課題である。
7. 生物の多様性の保護には、生態系、種、遺伝子の多様性の保護という3つの側面がある。これらは互いに関連しあっており、生態系の保護が十分に行なわれるのならば、結果として、種や遺伝子の多様性の保護もなされることになる。ただし、生態系内でいきすぎた狩猟や採集が行なわれたり、外来の動植物が人為的に移入されたりした場合には、環境だけが保護されても、一部の種や地域個体群は減少したり絶滅してしまうことになる。
以上抜粋