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(4)長崎港における航路展開の方向性

 

これまでの検討を踏まえ、今後の検討に向けて、長崎港におけるコンテナ輸送効率化に向けた航路展開の方向性を提示する。

 

1]地場貨物をベースカーゴとしたアジア域内航路の充実

 

長崎港周辺で生産・消費される外貿コンテナ貨物については、長崎港の利用により、北九州港、博多港や神戸港を利用する場合と比較して国内輸送コストを低減することが可能となること、また、韓国、中国等のアジア域内航路は船舶の規模が相対的に小さく、比較的少ない需要でも開設可能と考えられることから、長崎県および佐賀県西部を中心とした長崎港周辺地域の地場貨物をベースカーゴとしてアジア域内航路の充実を図る。

その際には、北九州港などと同等の輸送頻度を確保することは難しいことから、輸送頻度面の制約が少なく、輸送コストの削減が優先される品目が主たる対象となる。例えば、大分港の例では、大分県内で生産される合成樹脂などの化学工業品、志布志港では宮崎県内で生産される紙・パルプをベースカーゴとしているが、長崎県および佐賀県の生産・消費品目をみると(表6-1-4)、輸出ではその他機械(電気機械等)、輸入では飼肥料、機械、畜産品(佐賀では日用品、原木も)などのシェアが高い。これらの品目がベースカーゴとして期待されるものの、相手国別貨物量にみると(表6-1-5)、長崎県の輸出は欧米向けが多く、アジア域内では台湾、香港などが比較的シェアが高くなっている。このため、輸入品目をベースカーゴとするか、台湾、香港方面への航路展開を図ることが必要と考えられる。

また、わが国の地方港におけるアジア域内航路の開設状況をみると(表6-1-6)、韓国、中国を中心に多数の航路が開設されているが、その多くは日本海沿岸や瀬戸内海沿岸などの複数の港湾に寄港している。韓国航路では日本側に1港しか寄港しない航路(広島、徳山、苫小牧)もあるが、その場合、当該港湾単独で航路の維持に必要な貨物量を確保する必要がある。

長崎港は、その地理的特性から、他の地方港と組み合わせて航路を設定しにくいため、航路展開の方向性としては、

1)長崎港単独での韓国、中国等とのシャトル航路の開設

2)北九州港、博多港、伊万里港などと韓国を結ぶ航路の航路延長

3)北九州港、博多港、釜山港などと中国、東南アジア方面を結ぶ航路の途中寄港

4)熊本港、鹿児島港など九州西岸の港湾(現在、長崎港以外で外貿定期コンテナ航路が開設されている港湾はない)との組み合わせによるアジア域内航路の開設といったものが想定される。

 

 

 

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