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1]相手地域への輸送サービス

 

まず、前提条件として、当該荷主企業の輸出入相手地域への輸送サービスが提供されていることが必要となる。その場合には、直航の航路が開設されているか、もしくは他の港湾(釜山港など)でのトランシップによってサービスが提供される形態でもよい。

 

2]輸送コスト

 

1]の前提に立った上で、ほとんどの企業において、輸送コストが港湾選択の第一の要因としてあげられている。すなわち、長崎港を利用することによって、現在の輸送ルートと比較してコストが安くなることが重要である。

特に国内輸送コストは、利用港湾とその企業の所在地の関係によって大きく変動する要因であるため、なるべく近隣の港湾を利用したい、という意向が強い。ただし、単に安ければよいということではなく、後に述べる輸送頻度、リードタイム等において一定の条件が満たされていることが併せて求められる。

また、現状では国内トラック運賃が大幅に下落しているので、総コストに占める国内輸送コストの比率は低下しており、利用港湾によるそのコスト格差は必ずしも大きくなくなってきている。

海上運賃については、先に述べたように、長崎港に開設されている中国航路の運賃は北九州港などと比較して割高であるという認識がかなり広まっており、これに対して、財政的な支援によって政策的に運賃を引き下げる必要がある、との意見も出されている。

 

3]寄港頻度

 

長崎港の現行航路は隔週寄港であるが、隔週では生産・販売等の企業活動の制約となることから、現在の定期航路では一般的になっているウィークリーサービスが利用の条件とされる場合が多い。さらに、週2便は欲しいとの意見もあるが、それが長崎港利用の必要条件とはされていない。

 

4]リードタイム

 

長崎港周辺の企業においては、地元港湾の利用によるリードタイム短縮へのニーズもある。特に、市場への迅速な対応のために納期の条件が厳しいアパレル業界においては、リードタイムが短縮できれば中国から輸入するアパレル製品の検品作業を地元で行うことも可能になる、という意見があげられている。

一方、廈門、福州、上海に寄港する長崎港の現行航路は、輸出における長崎〜上海のリードタイムが長いことが利用のネックである、とする企業もある。これは、投入船舶の速力による要因と、寄港パターンの設定による要因があると考えられる。後者については、その施設によってリードタイムの短い区間と長い区間が生じるのはやむを得ず、運航スケジュールの設定にあたってどの区間を優先させるかという問題となる。

 

 

 

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