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(3)利用港湾・航路の選択要因と決定プロセス

 

1]港湾の選択要因

 

北九州港、博多港は九州域内では最も航路網が充実しており、多方面・多頻度のサービスが利用できることから選択されている場合が多い。

一方、長崎港や伊万里港の選択要因は、最寄り港のために国内輸送費が安いことが主な選択要因である。ただし、韓国以外の国との輸出入においては、釜山でトランシップして伊万里港を利用するよりも、博多港の直行便を利用する方がコストが安くなるという場合もあり、最寄り港を利用してもトランシップが必要な場合には必ずしもトータルコストが割安になるわけではない。

種苗関係では薫蒸施設が整っていることから北九州港が利用されている。

なお、大阪港や神戸港を利用している企業は、取引先の立地による場合が多い。

 

2]北九州港・博多港利用のメリット

 

長崎県内の企業でも、長崎上海フェリーの廃止後、北九州港利用に切り替えたところ、かえって輸送コストが軽減されたというケースがある。これは、長崎上海フェリーの場合、海上運賃17〜18万円、陸送費4〜5万円であったものが、北九州港利用の場合、海上運賃800ドル(約10万円)、陸送費7万円という場合であり、長崎港からの海上運賃が割高であったこと、現在国内輸送運賃が下落していることが要因である。

また、博多港や北九州港の場合、

・国内貨物の流動もあり、さまざまな面で融通が利くこと

・長崎港と比較して通関が迅速なこと

・国内輸送のシャーシ(トレーラー)を確保しやすいこと等も利用のメリットとしてあげられている。

 

3]利用港湾決定のプロセス

 

大手製造業の工場や子会社の場合、輸出入を本社が一括して取り扱っている場合が多く、その場合には博多港などの指定倉庫までの納入を指示され、利用港湾の決定には関係していない場合が多い。

 

(4)現状における輸送上の問題点

 

長崎港を利用する場合の海上運賃の高さについて、多数指摘されている。

ある荷主企業の試算によれば(表4-6-2参照)、北九州港利用と長崎港利用を比較した場合、海上運賃は廈門〜門司の650ドルに対し、廈門〜長崎は850〜900ドルである。トータルコストでみると、20フィートコンテナ1本(1TEU)で2万円、1トンあたりで1,000円程度長崎港が安いものの、利便性の違いなどを考慮すれば、長崎港利用のメリットを感じにくいという。

 

 

 

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