4. 関係主体に求められる役割
九州における物流情報化に向けて、各関係主体に求められる役割を整理する。
(1) 物流事業者・団体
1]業界団体
九州トラック協会や各県トラック協会など関係業界団体においては、物流事業者の情報化を牽引していく旗振り役としての役割が求められる。
具体的には、資料配付や講演会・セミナーの開催、ホームページの開設などにより、物流情報化の各分野にわたる最新情報をわかりやすい形で各事業者に提供し、普及啓発を行っていくことが重要な役割である。同時に、情報化相談窓口の設置などにより、事業者が実際に情報化を推進しようとする際の相談・アドバイスを行うことが求められる。
また、具体的な事業として、KITやJTRN等の導入実験を実施したり、機器・ソフトのリース・貸与、中小事業者向けパッケージソフトの斡旋など、事業者に対する情報化支援措置を行うとともに、各事業者が事業の実践にあたって情報化の効果を最大限に活用できるように、適切な指導・助言を行える体制を整えていくことが求められる。
さらに、物流共同化の事業推進組織や標準化に関する協議会等の立ち上げに際し、業界を代表してこれを推進するとともに、行政機関や荷主業界などに対する窓口としての役割も求められる。
2]各物流事業者
物流情報化を実際に進める当事者として、日進月歩する情報化に関する最新情報の収集に努め、自社にとっての最適な物流情報化のあり方を検討し、実行していくことが求められる。
国内物流で中心的な役割を担うトラック事業者においては、その事業規模や情報処理量に応じた社内の情報化を推進するとともに、顧客との間のEDI化による事務処理の軽減、求貨・求車情報システムなど情報共有化による物流共同化の推進など、事務処理および物流自体の効率化の両面においての情報化を積極的に進め、物流効率化を促進していくことが望まれる。
情報化によって物流効率化が進めば、結果的に物流需要が減少するというジレンマもあるが、物流効率化は社会的要請であり、物流事業者の生き残り戦略として情報化への対応が必要とされる。特に中小事業者においては、情報化にかかるコスト負担が相対的に大きくなるが、小回りが効き荷主ニーズに柔軟に対応できるというトラック事業者の利点を活用し、情報化を活用した積極的な事業展開を行っていくことが求められる。
国際物流の一端を担うトラック事業者においては、通関業務や港湾諸手続のEDI化、EDI標準の採用の動向に留意し、外航船社・船舶代理店、CY(ターミナルオペレータ)、保税業者などと連携を取りながら、EDI化、EDI標準の採用を積極的に進めていくことが求められる。