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2)中小トラック事業者における取引の継続・安定化

国内物流の主要な担い手であるトラック輸送の効率化は社会的要請となっており、エネルギー消費の削減、渋滞の緩和などの観点からもその必要性が高まっている中で、情報化はその有力な手段として期待されているが、取扱量の少ない中小事業者の場合、情報化を進めても、その費用に見合う効果が十分に期待できない場合がある。

一方、九州のトラック事業者は中小事業者が主体であることから、全国展開する大手企業と比較して情報化が立ち遅れており、荷主の側からは情報化をはじめとした物流革新への取り組みが遅れている企業との取引を縮小する動きもあることから、事業機会の縮小もしくは損失も懸念される。

こうしたことから、中小トラック事業者における情報化を企業の生き残り戦略のひとつとして捉え、EDIの実施など荷主の情報化ニーズに的確に対応し、取引の安定化を図るという側面に重点を置き、その促進方策を検討していくことが重要と考えられる。

3)企業間の規格不統一に伴う弊害の解消

物流EDIが進められる中で、多端末化によるデータの多重入力やデータ変換作業の発生、企業毎に対応したソフトウェアの開発・運用など規格の不統一による弊害も顕在化してきている。

プロトコル(EDIに必要な定義集)の標準化については全国的に進められているが、その動向を踏まえ、九州においてEDI標準メッセージの導入促進、伝票の統一化、バーコードの普及・統一化などを進めていくことにより、規格不統一による弊害の解消を積極的に図っていくことが重要であると考えられる。

4)国内海陸一貫輸送促進のための情報ネットワーク化

九州においては、関東・関西などの大消費地から離れていること、離島が多いといった地理的特性から、海陸一貫輸送の促進が望まれているが、情報化の効果を活用して海陸一貫輸送システムを構築している企業の例もある。また、特別積合せトラック事業者などでは、情報化の効果により異なる輸送機関間の連携が強化されることへの期待も比較的大きい。

このため、海陸一貫輸送を促進するための手段として情報ネットワークを活用していくことも有効であると考えられる。

5)国際物流の情報化に対する九州域内事業者の対応力向上

1999年導入予定の次期Sea-NACCSでは、国際標準であるEDIFACTへの準拠や利用対象業種の拡大などが想定され、これを機に国際物流における情報化が急速に進展することが予想される。その際には、通関等輸出入に直接関わる業務に加え、輸出入貨物を国内輸送する場合にも、国際標準への対応が求められる可能性がある。

 

 

 

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