(2) トランスポンダ型列車検知装置(5.2.1項、5.3項参照)
以下により、実用性の高いことを確認した。
1]地上インタロゲータ装置-車上レスポンダ装置間の通信領域の測定から、応動距離は離隔0.5mで最大1m、最大通信距離(離隔)は1.8mであった。
位置補正については通信領域から最悪でも±0.5mの範囲内で補正が可能と考える。
2]地上インタロゲータ装置と地上照査装置間を4mとして設置し、車両限界相当における位置に金属板(幅0.6m高さ0.4m)を置いて遮断の測定を行った。
遮断開始位置は金属板の先端が地上インタロゲータ装置中心から0.12m越えたところであり、遮断解除位置は金属板の後端が地上インタロゲータ装置中心より0.2m手前であった。
金属板の大きさは列車に比較し十分小さいため、列車検知においても遮断が可能と考える。
3]雑音環境調査により、鉄道システム環境においてトランスポンダ型列車検知装置のアンテナが雑音の影響を受けにくいことが判った。
(3) 保安伝送装置(3項、5.2.2項参照)
1]伝送方式としてTDMAを採用し固定局スロット、移動局スロット、境界スロットを設けることでシステム構築が実現可能となる見通しを得た。
2]列車が隣接制御ゾーンを移動する時、列車に対して始めに境界スロットを割り当て、地上-車上間の同期確立後、移動局スロットに移すことで、スムーズな列車のゾーン間移動を行える見通しを得た。
3]試作装置において、地上が2局、車上が1局の間でそれぞれが無線LANを構成し、決められた伝送手順で正常に相互通信を行うことができた。
(4) 列車間隔制御機能(5.2.3項参照)
試作装置により以下のことが確認できた。
1]無線LANによる地上-車上間の通信により速度制御に必要な情報の授受を行って、速度制御パターンを作成し、前方列車との距離を安全に保ちながら走行できることを確認した。
2]トランスポンダ型列車検知装置の地上-車上間の地点情報の通信により、車上において列車位置の補正を正常に行うことができた。