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インマルサット条約の第8条では、そのシステムを保護するために、締結国が、機構と同じ目的の別の衛星を提供又は使用しようとするときは、インマルサットと両立し、機構に著しい経済的な影響を与えないためにその通知が義務づけられ、機構の理事会はこれにより、具体的な調整手続きを決めている。インマルサットの発足に当たってはまず、太平洋、大西洋と印度洋の3マリサット衛星を借上げる形で、マリサットの業務が引継がれることになった。しかし、これらのマリサット衛星は打上げ後、インマルサットの発足当時でも5年余りを経過しており、運用システムとしての予備衛星の必要もあった。ESAが開発していたMAROTS衛星は、その後、衛星のバスをOTS(Orbital Test Satellite)からECS(European Communication Satellite)に変更したため、MARECSと名前を変えた。1982年12月と1984年11月にそれぞれ大西洋と太平洋に打上げに成功し(他に打上げ失敗1)、これらの衛星もまた、インマルサットに借上げられて、運用衛星に加えられた。更に、固定地点間の国際通信の中継をする衛星を運用している、インマルサットの兄貴分の衛星組織のインテルサットのV号衛星の内の5機に、海事通信用の中継器(MCS)を搭載する契約をした。それらも順次打上げられ(内、打上げ失敗1)、更に、第二世代の衛星の調達と打上げも進められ、その第1号(F1)が1990年10月30日に打上げられたほか4基のすべてが軌道におかれ、また第三世代の衛星インマルサット3の計画も進められている。これらの各衛星の諸元を表2・5に示す。

また、従来の3静止衛星の構成では、南アメリカの西海岸沖に若干のカバレージ外の海域ができていたが、大西洋衛星の一つが、西に移動され、図2・10に示す4静止衛星の構成とすることによって、このカバレージの欠陥は解消され、前記第二世代の衛星は表2・6に示すようにその4箇所に配置され、第一世代の衛星が予備として配置されている。

インマルサットの衛星と通信をする地上局(海岸地球局)は、それぞれの国の通信企業体が建設し、運用することになっている。図2・10にはそれらの局が、計画中のものを含めて示してあり、各大洋の衛星ごとに海岸地球局の1局が回線網管理局となっている。

船舶がインマルサット衛星経由で通信をするためには、船上に船舶地球局を搭載しなければならない。現在ほとんどの船舶が装備している船舶地球局は、インマルサットA船舶地球局と呼ばれるものである。このインマルサットAの無線装置は、径が1m前後の空中線を使用して、電話、テレックス、ファクシミリ、中速のデータ通信等での使用を考慮したものである。表2・7にインマルサットの各種業務の主要な諸元を示す。

 

 

 

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