日本財団 図書館


日本が設定するA2水域のみを航行する船舶に対する国際ナブテックス受信機又は日本語ナブテックス受信機の備付けは平成8年2月1日から実施されている。

日本語ナブテックスは、GMDSSで義務づけられた518kHzの英語による国際的な放送とは別に許可される自国語放送のひとつである。周波数はIMOの提案では490kHzとなっていたが、500kHzの遭難通信波が1999年まで有効なため、日本では424kHzの周波数が割り当てられた。

日本語放送は、基本的には国際的な放送と同じであるが、アルファベット及び数字のみでなく仮名及び漢字を扱うため、技術基準が追加されている。特に、見やすい文字、文書とするため、文字の大きさは10ポイント相当以上、1行あたりの文字数は、最大30文字となる。

 

2・2 デジタル選択呼出しのできる無線通信設備

2・2・1 デジタル選択呼出しシステム

遭難通信に限らず従来の船舶通信においては、各周波数別に呼出し周波数が定められており、通信士がその周波数を聴守して自船への呼掛けを知ることによって、応答し、通信用周波数で通信回線が設定される方法によっていた。しかし、最近の船舶の増加、通信量の増加、周波数利用の効率化、通信士の減少などから、特定の船舶局、海岸局などを特定の信号によって選択して呼出しのできる選択呼出し(セルコール)が採用されるようになった。我が国においては、沿岸無線電話には比較的早くから採用され、一般の電話と特定の船舶との接続が簡単に行われていた。1960年代の後半よりこのセルコールを国際的に船舶に採用することが検討され、CCIR(ITU-R)でのその方式の審議が進んで、1967年のWARCで改訂され無線通信規則にその呼出し周波数、信号の構成などが規定された。この方式は、0から9までの数字に対応する約1〜2kHzのトーン周波数による5桁の数字と、その送信時間などの信号の構成を定めたものである。しかし、当時から短波通信に適するセルコールとして、パルス方式、それに自動誤字検出及び訂正方式を加味した提案もあり、それらは引き続いてCCIRで研究が進められてきた。今回のGMDSSで採用されたセルコールの方式は、このようなパルス式のもので、トーン式と区別するためにデジタル選択呼出し、略してDSC(Digital Selective Calling System)と呼ばれている。

このディジタル選択呼出システムは、MF、HF又はVHF帯の周波数による通信をディジタル符号化することにより特定の船舶又は海岸局を選択して自動的に呼出しを行い、呼出しを受信した場合は、警報を発し、呼出しに含まれる情報は表示される機能をもっている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION