後に述べるCOSPAS/SARSATの捜索・救助用の衛星は、 このような軌道の衛星であるというよりは、この軌道の衛星に相乗りをして運用されているものといえる。
軌道高度1000km程度の円軌道の衛星は、前節の式からも分かるように、地球を1時間40分程度で一周するので、その間に地球は経度にして20数度自転する。このような衛星は、最低仰角を5°とすると、緯度によっても異なるが、中緯度で経度にして50数度の幅の地域から見えることが前節の式から求められる。したがって、同じ衛星が約1時間40分おきに2〜3回上空を通ることになり、地球の裏側の軌道を合わせると、1日に同じ衛星が、4〜5回見えることになる。システムがよく配置された4衛星から構成されると、地球上のすべての点で、1日に10数回以上は衛星が上空を通るので、COSPAS/SARSATシステムでは、その都度、遭難通報が地上に伝達され遭難位置の測定が行われることになる。
9・5 移動体衛星通信と測位