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静止衛星を打上げるのには、まず、衛星をその軌道の地球から最も遠い点(遠地点)が、静止衛星の高度の近くになるような長楕円軌道(これを遷移軌道という)に上げ、遠地点で、衛星に付属している遠地点モータと呼ばれる推進器を吹かせて、赤道を回る円軌道(ドリフト軌道)に入れる。ついで、衛星付属の推進器と姿勢制御の細かい調整によって、時間をかけて、衛星を所定の位置に静止させ、その後の運用中も、一定期間ごとにその静止位置を保持するように再調整をする。静止衛星の場合は、その寿命はこの位置の再調整用の推進器の燃料によって制限される場合が多い。

こうして地球上の高さHの衛星から見える地球上の地域は、衛星の直下点を中心とする直径Dの部分でDは、

D=2Rcos-1(R/(H+R))

であるが、一般的には、衛星のカバレージは、送受信点から衛星を見る仰角が5°又は10°に限定されるので、Dの範囲は上式より少し小さくなる。

こうして、緯度70°以上の極地方を除く地球上の全地域は、3静止衛星でカバーできる。(図9・2参照)ただし、静止衛星を船舶の通信に使用する場合は、通信をする地上の地球局と船舶が、その通信を中継する衛星を同時にみる必要があるため、後述するインマルサットの海事衛星の場合は陸地の関係上、図9・3に示すように、4静止衛星で極地を除き全世界の海域をカバーしている。

 

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図9・2 静止衛星と極軌道衛星

 

9・4 極軌道の低軌道衛星

極軌道の衛星とは、北極と南極のほぼ上を通って地球を縦に回る衛星(図9・2参照)で、一部の気象衛星(気象衛星には静止衛星もあるが、より詳しい雲の写真を撮るには低軌道衛星を使用する)、資源探査衛星、NNSSのような航海衛星など地球面から800〜1000km程度の低い高度で地球全体の上をくまなく通る衛星軌道があり、 これが極軌道の低い円軌道である。

 

 

 

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