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(a) 電離層と対流圏内での電波の屈折

この効果は、図7・10のように電波の経路が曲り、その伝搬距離が伸びることになるが、通信の場合は空中線の指向方向が少し変わり、電波の伝搬遅延が少し増える程度の影響に止まるが、衛星航法や衛星利用非常用位置指示無線標識のように位置の測定に衛星と電波を使用するシステムでは、その測定位置に誤差を生ずる原因になるので、普通は、電離層のモデルを作って補正をしている。電離層内では、この距離の変化は、電離層内で電波が出会う自由電子の総数に比例し、電波の周波数の自乗に逆比例し、対流圏内では、そこの温度、湿度と気圧が影響するが、電波の周波数には無関係である。

(b) ファラデー回転

電波が電離層を通過するときに、ファラデー効果によって電波の偏波面が回転する効果で、電波の周波数の二乗に逆比例して減少する。この効果は、地上局で縦と横の偏波でべつの送信をするシステムが影響を受けることがある。

(c) 電離層シンチレーション

 

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図7・11 海面反射によるマルチパスフェーディング

 

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図7・12 仰角とマルチパスフェーディングの関係

 

電離層のF層に異常な電離のある(スプレッドF層)ときに生ずる強いフェーディングで、受信電界強度に短い周期で減衰が生じ、通信品質の劣化又は通信の途絶えを招き、2〜3時間も続くことがある。低い周波数、特に海事衛星通信などのLバンドに影響が大きく、磁気緯度の低い地域と極地域で多発をする。

その他、海事衛星システムでは、回線品質を劣化させる要因の一つとして海面反射波によるフェーディングを挙げることができる。すなわち図7・11に示すように、船舶地球局が低仰角で衛星の電波を受信する場合、空中線のビーム幅が広いため、衛星から直接波のほかに海面からの反射波も同時に空中線に入ることになる。

 

 

 

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