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図3・55 標本化定理の概念図

 

標本化定理における入力信号とパルス列との間には、ある制限があり、標本化定理は次のように表現することができる。

「入力信号が周波数f0よりも高い周波数を含まない信号(帯域制限された信号)である場合、繰返し周波数が2f0よりも大きいパルス列で標本化を行えば、そのパルス列から原信号を再生できる」

たとえば、図3・56で表されるような関数g(t)が周波数f0以下に帯域制限されているならば、1/2 f0秒おきの離散的な時点における関数の値(標本値)が与えられると、関数g(t)は一つに決まってしまうことをこれは意味している。同図(a)において・印で示したのが標本値である。

標本点の間隔は1/2 f0秒であり、これより長い間隔では標本化できない。この間隔をナイキスト間隔(Nyquist Interval)と呼ぶ。

この標本点を通る曲線はいくらでも描けるようにみえるが、勝手に描いた曲線はすべてf0以上の周波数成分を含んでおり、周波数成分がf0以下に制限されているという条件下では一つしかないのである。たとえば、1kHzの正弦波を考えると、標本点は1/2,000秒おきにとればよいことになるが、この標本点を通る曲線を任意に描くと、図3・56(c)のように、明らかに1kHz以上の成分があることがわかる。

 

 

 

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