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再生中継伝送(Regenerative Repeating):符号化→時分割多重化という過程を経て得られた信号は、 繰返しパルスの連続である。これを離れた地点に伝送する際、 伝送距離が長くなるにつれパルスの振幅が減少するので増幅 (中継) してやる必要性が出てくる。繰返しパルスを中継するにあたっては、 パルスの時間的位置とパルスの有無だけを正しく再生すればよく、 アナログ伝送方式の場合のように、 波形そのものを忠実に増幅する必要はない。このような中継法を再生中継といっている。

時分割分離(Time Division Demultiplexing):時分割多重化されている信号を分離して元の情報に戻す過程である。

復号化(Decoding): 符号化されている情報を原情報に戻す過程である。なお、 符号化部と復号化部を合わせてCodec (Coder+Decoder)と呼んでいる。

(2) ディジタル伝送の特徴

経済性:アナログ伝送方式の構成要素は、アナログ変調回路とアナログフィルタ、アナログ増幅器を主体とするものであるが、ディジタル伝送方式の構成要素はディジタル論理回路が主体である。

ディジタル論理回路は多数の能動素子(トランジスタなど)を必要とするため、当初は、ディジタル伝送方式を実現することは、ハード規模、経済性、さらには信頼性の点から非常に困難であった。しかし、その後のIC、LSIの開発により、高価なアナログ回路を多用するアナログ伝送方式よりも経済的となった。

伝送品質:伝送品質とは、ある情報を伝送したとき、その情報がどの程度“正しく”伝わったかということを評価するための尺度である。たとえば、電話における雑音の量とか、データ伝送における誤り率がこれに当たる。

ディジタル伝送における伝送品質は、連続する信号を離散的なディジタル信号に符号化する際に生じる量子化雑音と、送られてきたパルスを再生し中継する際に生ずるパルスの誤りによって支配される。したがって、伝送路が正しく設計されていて、パルス誤りの発生が無視しうる一般の伝送系においては、その伝送品質は量子化雑音によって決まり、伝送距離には依存しない。これは、伝送路の雑音や波形歪の影響を受けて、伝送距離とともに品質の劣化するアナログ伝送方式と比較して大きな特徴である。またさらに、アナログ伝送方式では、温度変動の変化が、直接信号のレベル変動となって現れるが、ディジタル伝送方式では、パルス再生中継であるため、このような影響をほとんど受けることがない。

 

 

 

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