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コレクタから流れ出す電流は、エミッタからベース部分へ流れこんだ電子が(+)電位によって引張られて流れるものであるから、その電流の大きさは、ベース・コレクタ間の電圧にはほとんど影響を受けない。また、エミッタからベース部分へ流れこんだ電子は、そのほとんどすべてがコレクタ部分へ流れこむから、ベース電流はわずかしか流れず、ほとんどがコレクタ電流となる。エミッタからベース部分へ流れ込む電子は、エミッタ・ベース間の順方向電圧に比例するのでコレクタ電流はエミッタ・ベース間の電圧に比例することになる。

以上はNPN形トランジスタを例にとって説明したが、PNP形でも電池のつなぎ方が逆になり、キャリアがホールになるだけで原理は同じである。〔図2・16(a)(b)参照〕

図2・17はトランジスタ各部の電流の流れる様子を示したものである。コレクタ電流はエミッタ電流の98〜99%、ベース電流は1〜2%程度である。

 

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図2・17 トランジスタ内部を流れる電流

 

次に、図2・18に示すようにエミッタに小さな交流電圧信号を加え、コレクタに負荷抵抗をつないだ場合を考えてみよう。エミッタ・ベース間は順方向バイアス電圧がかかっているので、小さな信号電圧でも電流は大きく変化し、その電流がコレクタ、負荷抵抗を流れるので、負荷抵抗の両端には大きな信号電圧があらわれる。これが増幅の原理である。

 

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図2・18 トランジスタの増幅作用

 

 

 

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