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しかし、ある程度移動するとN形半導体は(-)の電荷を持った電子が少なくなるので、全体としては(+)となり、電子を引き戻そうとする。またP形半導体は(-)の電荷を持った電子が入ってくるので全体としては(-)となり、電子を押し返そうとする。したがって、P形が(-),N形が(+)になった状態で定常状態に達する。このためP形半導体とN形半導体の間には電位差を生じていることになり、これを電位障壁と呼んでいる。また、接合面付近では、電子がホールを埋めているのでキャリアが存在しない領域がある。これを空乏層と呼んでいる。

このダイオードの両端に電極を設け、図2・6(b)のようにN形側に(+),P形側に(-)の電圧を加えると、N形半導体中の電子は(+)電極の方へ引き寄せられてN形半導体の(+)電位はさらに大きくなる。一方、P形半導体中へはホールを埋めようと電子が流れ込み(みかけ上はホールが(-)電極に引き寄せられる。)P形半導体の(-)電位はさらに大きくなる。したがって電位障壁は大きくなり、また接合部付近のキャリアが不足して空乏層が拡がり、電流はほとんど流れない状態となる。

次に、図2・6(c)に示すようにP形側の電極に(+),N形側の電極に(-)の電圧を加えると、N形半導体中の電子は接合面のほうへ、P形半導体中の電子は(+)電極に引き寄せられ、このためホールは接合面のほうへ押される。したがって電位障壁は小さくなり、電子はP形半導体のほうへ、ホールはN形半導体のほうへ侵入してゆく。一方、電池の-)電極からは電子が次々と供給され、(+)電極へは電子が吸いとられてゆくので電流は流れ続ける。

 

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図2・7 ダイオードの電圧電流特性

 

このようにダイオードは電圧の加え方によって、図2・7に示すようにある方向では電流をよく流し、反対方向では電流をほとんど流さないという性質がある。

 

 

 

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