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原子は(+)の電荷を持った陽子と電荷を持たない中性子を含む原子核と、その周囲を回っている(-)の電荷を持った電子から構成されている*。原子は陽子、中性子、電子の数の相違によって分類され、それぞれ性質が異なる。例えば原子核中の陽子が1個で、電子が1個の原子は水素であり、陽子が8個、中性子が8個、電子が8個の原子は酸素である。原子の種類が異なっても、原子を構成する陽子、中性子、電子はそれぞれ同じ性質のものであり、電子の持っている(-)電荷と、陽子の持っている(+)電荷は中和して、原子それ自体は電気的に中性である。

 

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図2・2 原子の構造

 

図2・2に原子構造の例を示した。電子は原子核を中心とした一定の円軌道を回っていて、この軌道を内側から第1、第2,……第n軌道とすると、各軌道に入り得る最大の電子数は2n2である。すなわち内側から2,8,18,32……となり、電子はこれらの軌道を内側から順次埋めてゆく。図中の原子核の上にある+6,+14,+32の数字は原子核中に含まれる陽子の数を示しており、各軌道を回っている電子の数と等しいことから原子自体としては電気的に中性であることがわかる。

原子核に近い、すなわち内部の軌道にある電子は原子核に強く引きつけられて原子核から離れることはできないが、最も外側にある電子(これを価電子と呼んでいる。)は原子核との結びつきがあまり強くなく、熱、光、電界などのエネルギが加わると、原子核との結びつきから離れて物質中を移動しはじめる。このことから導体と絶縁体とを比較すると、銀や銅などの導体の価電子は原子核との結びつきが弱く自由に動きやすいので、わずかな電圧を加えても電流が流れるが、これに対して絶縁物では原子核と価電子の結びつきが強いので、電圧を加えても電流は流れにくいということになる。

さて、図2・2に示したような価電子の数が4個の原子はお互いの価電子を共有しあって、図2・3のように結合することができる。同図はゲルマニウム原子の結合の様子を模型的に描いたものである。実際にはダイヤモンドと同じように立体的に結合(ダイヤモンド結合と呼ばれる。)しあい、ゲルマニウムの結晶を構成する。

 

 

 

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