第7章 点検整備と保守上の注意
点検整備と保守上の注意事項については、各機器の取扱説明書に詳細にわたり記載してあるので、必要のある場合は当該書によることとし、ここでは共通と思われる要点について述べる。
7・1 一般的保守と点検
レーダーの性能を維持し、最良の状態で使用し、故障を未然に防ぐためには、若干の手入れを行う必要がある。また、装置の動作状態を絶えず良好に保つよう注意しなければならない。
作業上の注意
1.空中線部や送受信部の保守、点検中に電源を入れられると危険なので、本船配電盤のレーダー用電源スイッチとレーダー表示器の操作パネル上の〔POWER・電源〕スイッチを〔OFF・断〕にして、表示器操作パネルと空中線マストの下部に〔作業中〕という注意表示をすること。
2.保守内容とその順序を十分理解してから行うこと。
3.調整方法に書いてない調整器は絶対に回さないこと。
4.作業完了のときは、その内容をレーダー日誌に詳細に記録しておくこと。
5.高圧部分には、電源スイッチを断にしても、CRTの陽極に高電圧が帯電している場合がある。したがって、手を触れる前にCRTの高圧キャップを陽極から外し、アースリードを用いてCRTの陽極と高圧キャップ電極に蓄積された電荷を表示器箱体(アース)などに接地し、残留電荷を放電させること。
6.各ねじ類の緩みに注意して増し締めし、室外部分は防水について十分に配慮すること。
(1)箱体、機内の清掃
各ユニットの箱体のほこり、ごみ等はできるだけ乾いた布で清掃すること。
特に通気口は綿ごみ等で目づまりを起こさないように電気掃除器等で吸い取り又は吹き飛ばしながら柔らかい筆等で清掃をする。特に端子盤や部品密度の高いところに綿ごみが着いたら入念に取り除き、汚れているところは四塩化炭素やアルコールでぬぐい取る方がよい。また、高圧を使用しているブラウン管の周辺やマグネトロンの周辺は細かいごみが着きやすいので、入念に清掃する。