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図の点線はこの効果を含めた探知距離を三つの物標について示したものである。この減衰曲線は気温によって若干の差があるとされているが、波長3cmのレーダーではほとんど無視できる。

図9・25は雪やあられによる同様の減少を同じ三つの物標で示してある。

 

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図9・26 霧による探知距離の減少

 

前の図と比較をすると降雨量が増加しても、電波の減衰はあまり増加しないのに、雪の反射は雪の粒が大きくなると大きくなる。このことは降雨時の温度も影響を持つことになる。

図9・26は霧による物標の探知距離を、視程を横軸に目盛ってある。霧の場合は温度により減衰がかなり変化をするので極地方の霧(0℃)、温帯(16℃)、さらに熱帯(25〜30℃)の三つの曲線に分けて三つの物標について示してある。視程が50〜100m以下にならないと目立った探知距離の減少がないことがこの図から分かる。

 

9・8・5 レーダー断面積

レーダーの電波が何らかの物体に当たったときは、その物体の材質や形状及び大きさなどによって、その電波がどうなるかが変わってくる。材料が金属のような電気の良導体のときは、当たった電波のエネルギーのほとんどすべてが反射をされ、その反射波が方向的にどのように分布するかは、その物体の形や大きさによって決まる。このような電気の良導体に属する物体には鋼船、橋、浮標、陸上における鉄製の建造物及び海水などがある。これに対して、木材のような誘電体は、当たった電波のエネルギーの一部を反射するとともに、残りのエネルギーはその物体を透過するか、あるいは、その一部が物体内に吸収される。このときに反射されるエネルギーの割合がどの程度であるかは材料の性質による。例えば、プラスチックの場合は、ほとんどのエネルギーがそれを透過すると考えてよいであろう。

 

 

 

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