これは、この半導体の中を流れる電子の移動速度が遅くなるためであって、こうなると陰極の付近に電子が固まって、陽極付近には電子が少なくなる。この電子の固まりはそのまま陽極の方に移動をして、陽極に達して大きな電流となるが、そうするとまた陰極近くに電子の固まりができる。こうして、ダイオードには振動電流が流れるが、電子の集団の移動速度はほぼ105m/sなので、GaAsの動作領域を10μmとすると、それを通る時間は0.0001μsとなり、10GHz周波数が発振されることになる。この発振周波数は、加えられる電圧や接続される空胴共振器の共振周波数によって、かなりの範囲を変化させることができる。
レーダー受信機の局部発振器に使用するときには図7・10に示すように、ガンダイオードを空胴共振器の一部に接続しておくと、発振周波数は共振器によってほぼ決定されるので、空胴共振器の調整によって、発振周波数を微調整することができる。