港の発展とともに、港湾の運営主体も民間から公営へ移行したり、公営から民営へ移行したりと変遷を重ねています。これは、その国のおかれた地理的立場、経済の発展段階、その国の政策によって差異があり、汎用的な最適解が無いからと思われます。公設民営、私有化はそれぞれ得失があり、港を企業と見てその利潤を最大にしようとするのか、利用料金を下げて産業振興を優先するか、港湾施設の不足を解消しようとするのか、など何に重点を置くかで戦略が異なってきます。今回の調査では、まだ、公設民営グループの方が多いように思われました。
本レポートは、筆者がOCDIに勤務していたときに実施した「港湾民営化支援調査」、「海外港湾の管理運営調査」をもとに、発展途上国の港湾開発における民間事業者の参加、港湾の直営・公設民営と私有化について書き加えたものです。したがって、本レポートの意見に関する部分は私見であります。調査を指導していただいた岡田教授、来生教授、土井教授、宮本教授、井口教授、運輸省の皆様、OCDIの皆様に厚く御礼申し上げます。
(出典:OCDI Quarterly No.59,1999から収録)