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1) 地方化政策

港湾の運営業務は基本計画、工事計画および経営計画に分けることができる。このうち基本計画は中国全体で捉えるべき業務であるが、人事権を有する経営計画は港湾所属の地方政府に任せたほうが地方特性の長所を発揮しやすい。また、資金調達を含む工事計画は港湾管理者の実績に応じて委譲されていくものと思われる。港湾管理権の地方委譲は、1984年に天津港で行われ、1986年に上海港と大連港、1987年には青島、煙台、南通、連雲港の各港に波及した。地方政府への委譲の内容は一様でないが、この結果として中央政府の主要任務は港湾計画の審査、取り扱い貨物量の計画管理、法律や料金の制定などに集約される方向にある。

 

2)コンテナ化政策

中国国内の主要コンテナ港(上海、天津、黄埔、青島、大連、厦門など)のコンテナ埠頭でのコンテナ扱い量は近年著しく伸びており、今後も中国国内のコンテナ輸送体制の未整備とは無関係に増え続けるため、沿海港湾での受入の量の増強策がとられている。

 

3)エネルギー輸送力の増強策

中国の石炭は世界最大の埋蔵量を有しており、今後とも中国エネルギー消費に大きなウエイトを占めていく。その産地が華北の山西、陜西省および内蒙古に集中し、消費地が全国各地に分布するため輸送問題は国家の重要課題として捉えられている。石油は「東部の安定生産、西部の発展」の方針の下で安定生産が続けられているが、生産量の大幅な伸びは期待できない。エネルギーの輸送問題は石炭で特に重要で、鉄道との効率的な連携、公害対策が論じられている。

 

5-3 中国港湾の管理体制

中国の港湾管理組織は1970から始まった国家の改革・開放政策のもと幾度となく改革されてきた。交通部の幹部の意見によれば、中国の港湾は、今日、調整と完備の時代に来たと認識しているということである。それに呼応した新しい組織の例としては、海運分野の総合拠点となる上海海運センターの設立が挙げられる。

現在の中国の港湾はその管理形態によりつぎの3つに分類されている。

 

 

 

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