シンガポール港の民営化については、業務を民間企業に外注する方法は採用されていない。自己改革のより時代のニーズに対応していこうという方針であり、逆に旺盛な事業多角化の意欲も組織改革にともなってますます活発化してくることが予想される。これらの背景としてはシンガポール港の財政事情が極めて良好であること、時代を先取りした政策の成功体験が自信となっていることなどが考えられる。
4-6 パシルパンジャンターミナルプロジェクト
1) 全体計画
パシルパンジャンターミナルプロジェクトは全第四期の計画からなり、合計50バースのコンテナターミナルを建設する計画である。完成時の年間取扱能力は3600万TEUの巨大ターミナルとなる予定である。
第一期計画は8バース、131ha、総工費約2,340億円である。第二期計画は18バース、197ha、3,900億円である。第三、四期は24バース、258haである。1998年内には一期計画のうち4バースが開業の予定である。
2)ターミナルの特徴
第一期計画の特徴は水深-15m、岸壁延長は四バースで1455m、岸壁クレーン14機である。ヤードクレーンはコンクリートの柱に支えられた固定レールの上を無人運転のブリッジクレーンが行き交う形式である。ヤード内のコンテナは9段積みまで可能でブリッジクレーンは管制室による集中管理がなされる。ヤード上およびコンテナ上はコントロールルームからの遠隔操作で運転されるが、シャーシへの積み下ろしは人の手による。将来的にはシャーシの運転も含めた全自動化を目指している。
3)運営主体
既存の三ターミナルと同様PSAが一元的に運営する。しかしながら、前述したとおり既存の三ターミナルは構内道路で連絡されているが、このターミナルは既存ターミナルと10Km西側にあり、陸送コストが生ずるが、当面はPSAが負担する予定と聞いている。