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第5節 中南米諸国の港湾管理運営

 

1 港湾の管理運営に関する基本的考え方

 

南米においては、中央政府や公団、国営企業、埠頭公社等が管理運営を行っていたが、いずれの場合においても、非効率なサービス、高コスト、投資活動の停滞や組織の肥大化が大きな問題となっていた。

このため、各国とも1990年代に入り、法律改正等により抜本的な改革に取り組み始めた。具体的には、中央政府から地方政府への港湾管轄権の委譲、港湾開発、管理運営における民間事業者の参入を認めること等により、港湾の効率化の実現、荷役作業の効率向上と低コスト化、職員数の減少、港湾投資の増加等を図ることとし、それらを実現させつつある。

 

今回調査した国のなかでは、アルゼンチンは地方政府である州が全ての港湾財産を所有し、管理運営権限も有する。ブラジルにおいては、港湾のインフラは最終的には連邦政府の所属となるが、港湾の管理運営は、地方政府である州あるいは市の所管である。いずれの国の場合も、港湾サービス業務は民間が実施している、あるいは今後実施させる方針である。

一方ベネズエラにおいては、海面、土地(海岸線から200mまで)及び港湾インフラは国有であるが、倉庫、ビル、クレーン等は州政府に移管されている。また、港湾の運営は、公営機関、第三セクター、民間(コンセッションによる)のいずれかが行うこととなっている。

これらに対し、中米のジャマイカでは、1973年以前は全て民間企業が所有し、運営していたが、1973年の港湾管理者法の制定により、民間所有と公共所有の両立となり、現在までその状況が続いている。ただし、公共港湾においても、その運営は民間と契約して民間に行わせる方式を採用している。

 

 

 

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